7-12.難問・珍問人の寿命は何年か?3
そこで主は言われた、「わたしの霊はながく人の中にとどまらない。彼は肉にすぎないのだ。しかし、彼の年は百二十年であろう」(創世記6:3、口語訳)。
聖書に記録されている最初の人類の驚異的に長い寿命と生命力に関するデーター、及び十六世紀以降、現在に至るまでの人の寿命を、二回にわたって見てきました。
人類史において、約一千年の長寿を祝福された時代があったにもかかわらず、その後、様々な経緯を経て、現在はその十分の一以下、約八十年の寿命になっていることが分かりました。
いつ、どのようにして人の寿命がこのように短くなってしまったのでしょうか。
最初の人アダムから110歳で死んだヨセフまでの、歴史に名を留めた人々の寿命を図に示しました。
アダムは創造されたときの年齢を20歳相当と考えるべきでしょうが、一応930歳を彼の寿命とします。
また、エノク(淡青色の星印)は神に取られて死ななかったので、寿命の算出から除外します。すると、アダムから十代目ノアまでの九人の平均寿命は912歳になります。
ノアから後の世代は、急激に寿命が縮まっています。図に示したように、ノアが600歳、セムが約100歳の時に全地球が泥水で覆われた大洪水がありました。
この洪水を境にして人類の寿命が大変遷を遂げたことが分かります。
この地上に罪が満ち溢れたので地球全体に裁きを下すために洪水を起こすと主が預言されたときに(創6:6, 7)、「彼の年は百二十年であろう」とおっしゃった御言葉を人類はよく理解できず、異なった解釈を生み出しました。
口語訳及び英語訳のNIV, NKJVはいずれも、「彼の年・日数は百二十年」という翻訳になっており、意味が明白ではありません。
カトリックのフランシスコ会訳では「人の日数は百二十年にすぎない」と翻訳し、「『百二十年後の洪水によって命を滅ぼす』という預言であり、この解釈はギリシャ語訳、ラテン語訳、シリヤ語訳に一致している」と脚注に書かれています。
現代訳、TEV、Living Bibleは、悔い改めの期間であると解釈し、洪水は120年後だと翻訳しています。
一方、新改訳と新共同訳では、人の寿命が120年に設定されたと翻訳されています。

人の寿命は、一体どれくらいに設定されているのでしょう。
主は洪水によって地球と人類を裁いて、寿命を120年に定められたのでしょうか?
人々の寿命は洪水後、直ちに120年になったのではなく、洪水を体験したノアは950歳まで、セムも600歳まで、洪水後も延々と生きました。
記録を見ると、大洪水の二年後に生まれた第一世代のアルパクシャデは438年、ノアから六代目ペレグは239年、そして十一代目のアブラハムでさえ175年生きました(創世記9:28,29, 11:11, 17, 19, 25:7)。
創造主が寿命を120年に定められたと考えるには、矛盾が大きすぎます。詩篇90篇10節には「私たちの齢は七十年。健やかであっても八十年」とあり、この点でも矛盾します。
ペテロは「ノアの時代に、箱舟が造られていた間、神が忍耐して待っておられた」(Ⅰペテロ3:20) と言っており、祖父のメトシェラ、父のレメクとノアに主は洪水預言を与えられ、裁きを猶予して120年後に洪水を起こすと言われたと解釈すると、納得できます。
「わたしの霊はながく人の中にとどまらない」と礼拝者がいなくなることを嘆いた発言に続けて、「彼の年は百二十年」と宣言しておられるのです。
この120年を寿命と考えるより、むしろ悔い改めの期間と考える方が文脈的にも理に適います。
その期間に悔い改めなければ裁きを受けるという意味で、明確に理解できると思われます。
こうして、驚くほどの長い猶予期間を与えて、忍耐して待っておられた主は、最後に洪水の正確な日を予告されました。
「あと七日たつと、わたしは、地の上に四十日四十夜、雨を降らせ、わたしが造ったすべての生き物を地の面から消し去る」(創世記7:4)と預言され、その御言葉の通りに七日後に箱船の扉を主ご自身で閉じた後に洪水を起こし、地球全体を怒濤の水で覆われたのです。
主が裁きの一環として寿命を短縮なさったのでなければ、洪水の後になぜこんなに短命になってしまったのでしょう?
聖書はノアの洪水とその他の水害を別の言葉で表現していますが、現在私たちが知っている局地的洪水でさえ、環境に及ぼす直接間接の被害は相当甚大です。
まして、地球全体を襲ったノアの洪水の及ぼした被害は測りしれません。
創造当時どのような厚さで「上の水」やオゾン層その他が地球を覆い包んで、安全に守っていたのかは分かりませんが、その「上の水」が洪水の時にすべて地上に降り注ぎ、上空から守っていた様々な環境が破壊されてしまいました。
一方、地球内部からは一斉に水が噴き出し、地底を引っかき回して激しい地殻変動が起こり、火山活動がさらに激しく地底深くかき回して、地球内部の溶岩や水を吐きだし、地球は泥水が荒れ狂う塊と化し、海溝が深くえぐられ、山は高く隆起したことでしょう(詩篇104:8)。
このように上からと地底からの大激変によって、オゾン層が破壊され、強力な紫外線、有害な宇宙線、そして放射能が地上に降り注ぎ、生物を痛めつけたことでしょう。
生物が、特に人が快適に生きるように整えられた地球環境が破壊されてしまったのです。
セムが祖先より短命で600歳で死んだのは、その影響が表れたためでしょう。
そして、生命の根幹である遺伝子が大きな傷を受けて、その傷が親から子へ、子から孫へと代を追って受け継がれ、寿命が段々短縮していったと考えられます。
ノアまでの人々は約900年の一定した寿命を与えられていたのに比べて、洪水後、急激に寿命は短縮しましたが、洪水直後にいきなり80歳になったのではありません。
洪水によって突然起こった遺伝子の傷が子孫に引き継がれ、さらに洪水後の著しい地球環境の劣化は、その後の人々に直接の影響も及ぼしたと考えられます。
そのような遺伝子の傷は増幅され、付け加えられて、ヨセフの代になると今の平均寿命とかけ離れていない寿命にまで短縮してしまったのでしょう。
ノアの大洪水に際しての箱船による救いは、今の恵みの時代のイエス・キリストによる救いを彷彿させられます。
創造主を礼拝することを忘れた者は早く悔い改めて、イエス・キリストによる救いを受け容れなさいと招かれているのです。
裁きまでの期間はまだ知らされていませんが、今は救いの扉を開いて待っていてくださいます。
ノアたちは洪水の滅びから逃れるために、命令に従って汗水垂らして箱船を造りました。
一方、私たちはイエス・キリストの救いをただ感謝して受け取ればいいのです。
すべての労苦、苦しみはいっさい、イエス・キリストが負ってくださったのです。
この大きな救いの船に全人類が乗ることを、創造主はどんなに願っておられることでしょうか。



