7-4.難問・珍問カインの結婚は近親相姦か?(1)
それで、カインは、主の前から去って、エデンの東、ノデの地に住みついた。さて、カインは、その妻を知った。彼女はみごもり、エノクを産んだ(創世記4:16, 17)。あなたがたのうち、だれも、自分の肉親の女に近づいて、これを犯してはならない。わたしは主である。あなたの姉妹は、あなたの父の娘でも、母の娘でも、あるいは、家で生まれた女でも、外で生まれた女でも、犯してはならない(レビ記18:6, 9)。
カインの妻がどこから来たのか、誰なのかということがあちらこちらで議論の対象になっています。
何故、人々がこの質問に対して、明快に即答できないで混乱するのでしょう? 頭脳の情報の流れが混線し、論理が逆立ちをしているからです。
人類の系図、つまり私たちの先祖、アダムの系図を考えるときに、後継者であったセツを考えずに、弟を殺した大悪人のカインを故意に取り上げて問題にしたところに、大きな罠があったように思います。
「こんな大悪人であったから近親相姦をしたのだろうか、いや、カインは家族から離れてノデの地に追われてしまった。ノデには、アダムから生まれたのではない別の人種が住んでいたのだろう」。
結婚相手を話題にするときに、カインを取り上げることによって、人々はこのような考えに誘惑されてしまうのです。
全能の神は、人類の始祖として土からアダムを創り、そしてアダムのあばら骨からエバを創って妻とされました。
二人はカインを生み、アベルを生みました。アダムの家族を図に示して見てみましょう。
男は黒、女は赤で示しますが、カインは殺人を犯したので青で、またアベルは殺されたのでバッテンを付けて抹消しました。
アダムとエバには、後継者である息子、セツが新たに与えられました。
アダムとエバの子どもたちで、名前が記されているのはこの三人だけです。
しかし、九百三十年の生涯に名前が書かれていない多くの息子、娘たちを与えられたことが、聖書に記されています。
この多くの息子、娘たちが、いつ生まれたかという記載はありません。長子がカイン、二番目がアベル、三番目がセツという考え方が浸透しているようですが、そのように考えなくてもよいのではないかと、個人的には考えています。
聖書の書き方の特徴として、家系を引き継ぐものが重視して書かれていて、後継者は必ずしも長子ではありません。
アブラハムの後継者は約束の子である次男のイサクであり(創17:19-21)、ヤコブは双子であったとはいえ次男でありながら長子の権利を約束され(創2 5:23)、ヨセフの後継者も次男が選ばれ(創48:18-19)、そして時代が下がって、ダビデ王は末っ子でした(Ⅰサムエル16:11-12)。
また、生まれた順に書かれているとは限りません。
例えば、ノアの子どもは、セム、ハム、ヤペテの順に書かれていますが、長子はセム、次男がヤペテ、そしてハムは末の子です(創6:10, 9:22, 24, 10:21)。
また、聖書に記載されている人は実は限られていて、舞台裏には数多くの人々がいましたし、特に女性については原則的には記録が残されていません。
したがって、カインが生まれる前に、またカインが追われてからセツが生まれる前に子どもたちが生まれた可能性はあります。
こういうことを考慮して、アダムとエバの子どもたちを可能な限り数多く描きましたが、この子どもたちが何人であり、またいつ生まれたかは分かりません。
さて、アダムの息子・娘たちが結婚しなかったとしたら、子どもたちが例え百人生まれたとしても、アダムの家系図は夫婦とアダムの子どもたちだけで、この図の子どもたちの数が多くなるだけです。
しかし、彼らは結婚して、現在の私たちにまで延々と人類は存続してきたのです。
では、この息子・娘たちは誰と結婚したのでしょう? わざわざ、人類の歴史の表舞台から消えてしまった人殺しのカインの妻を探さなくても、人類の系図の第二世代、アダムの後継者・セツの結婚相手が誰であったかを考えるのが、筋というものでしょう。
また、その他の息子、娘たちも誰と結婚したのでしょう? 初めに地上に存在した人類は、アダム夫婦と図に描かれているアダムの子どもたちだけでした。
近親結婚の禁止という法律が人類の頭に染みこんでおり、法律以上の意味を持ち、感覚的に忌み嫌うものにまでなっています。
法律が身に染みこんだのは好ましいことですが、「近親相姦」などという汚らしいことはあり得ないと思い込んでしまいました。
だから、カインの結婚相手には、アダムから生まれたのではない別の家族・人種がいたのだろうと考えてしまうのです。
しかし、律法が与えられたのは、時代がずっと下がり出エジプトを遂げた後のことです(レビ記)。にもかかわらず、この思いに足をすくわれて、最も重要なこと、全ての基本であることが、スポッと抜けてしまいました。
主が創造なさった人間はアダムとエバだけであるという、信仰の基本です。
このことがお腹の底にしっかりと収まっていたら、カインの妻探しに苦慮することはなかったのです。彼ら相互の結婚相手は、アダムとエバから出た誰か以外にあり得ないことは明白です。
今回は、総括的結論を述べるに留まり、次項で、詳細に学びたいと思います。
参考文献:「アンサーズブック」ケン・ハム、ジョナサン・サーファティ、カール・ウィーランド共著
「創世記の記録」ヘンリー・M・モリス著 宇佐神正海訳、創造科学研究会




