7-11.難問・珍問人の寿命は何年か?2
神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された。神は彼らを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ」。・・・神が造ったすべての物を見られたところ、それは、はなはだ良かった。(創世記1:27, 28, 31、口語訳)
宇宙は、地球は、そして私たち人類は、どのようにして存在するに至ったのでしょう? 人の寿命を考えるとき、この質問に行き当たってしまいます。
現在は過去の延長線上にあり、未来は現在の延長線上にあると考える根強い思想を私たちは植え付けられました。
つまり、地球全体、人類全体を考えたときに、すべてのことが平坦な時の流れの中で推移し、大激変は起こらなかったし、将来も起こらないという斉一説が広く社会に浸透しました。
しかしながら、全知全能の創造主は、この宇宙のすべてを、かつてただ一度だけ創造され、地上にいのちを置かれた時には、いのちは不老不死、不滅のものとして造られました。
だからこそ、創造の御業が終了したときに、主は「はなはだ良かった」とおっしゃったのです。
ところが、アダムの主への不従順によって、創造されたいのちは汚され、死が入り込みました(創2:17, ローマ5:12)。
記録に明らかなように、霊的には即座に死にました(創3:7-10)。
しかし、肉体の死に関しては、死に至る時計の針は動き始めましたが、主の深い愛と恵みによって驚くほどの猶予が与えられ、アダムは地上にあって長寿を祝福されました。
しかし、その後、肉体の死は間違いもなく訪れたのです。聖書は「アダムは全部で九百三十年生きた。こうして彼は死んだ」(創5:5)と事実だけを記して、私たちの初代、アダムの肉体の死を確実に、しかし素っ気なく伝えています。
そして、二代目についても、「セツの一生は九百十二年であった。こうして彼は死んだ」と書かれています。
その後の子孫たちについても、「生まれて、生きて、死んだ」という死の記録が綴られていますが、その人生は私たちが想像さえできない長寿なのです。
十代目ノアまでの族長の寿命を表に示しました(創5章)。
記録上もっとも長寿であったのはメトシェラで九百六十九年、その孫のノアも九百五十年生きました(創9:29)。
アダムからノアまでの代表的な人々が生きていた時代を図に示しました。
それぞれ生きていた年代を黒い横棒で、後継者を生んだそれぞれの年齢を黄緑色で、死亡を青字で書いています。図でよく解るように、アダムは神と共に歩いた信仰者、エノクを育てたのでしょう。また、洪水預言を受けたノアの祖父メトシェラやノアの父レメクと同時期にアダムは生きていましたから、如何に人口が増大していても、族長の彼らと互いに出会っていた可能性があります。
地球を覆い尽くした大洪水を箱船によって救われたノアは、アダムと二代目セツの死後、三代目エノシュの存命中に生まれています。
私たちに理解できない千年近い長寿とは、このようなことも意味するのです。
聖書に記録されているのはアダムの直系の後継者の寿命だけですが、記録されていない数多くの人類は、当然のこととして同様に長寿を与えられていたと考えられます。
つまり、アダムの大勢の子どもたち、孫たち、ひ孫たちなど、アダムの子孫は「生めよ、増えよ」と地上に増えて、八百歳、九百歳の長寿を楽しんでいたことでしょう。

さて、このように長寿であった人々がどのような人生を送ったのか、聖書に書かれている彼らの生活の片鱗を垣間見てみましょう。
聖書に登場する高齢者、例えば五百歳のノアをイメージするときに、とんでもなく老いさらばえた老齢の人であるという思い込みを私たちはしていないでしょうか?
大洪水の絵本は、しばしば真っ白なひげ、真っ白な髪の毛、そして深い皺の刻まれた、どこからついても「おじいさんとおばあさん」のノア夫婦が描かれています。
彼らは、巨大な箱船を造り、一年余の厳しい箱船生活を管理・監督する重要な任務を与えられ、見事に遂行したにもかかわらずです。
彼らは五~六百歳でどれくらい老いさらばえたおじいさん、おばあさんになっていたのでしょうか?
本来、不老不死に創造された人類は、造り主に背いた罪のために死を招き寄せましたが、恵みによって大きな猶予を与えられたと、先に述べました。
寿命が千年近く与えられたのと呼応して、老化も実に緩やかであったことでしょう。
彼らが、私たちには信じがたい年齢になってから子をなしている事実によってそれが解ります。
表に示した寿命の横に後継者を生んだ年齢を記しました。
今の私たちの常識で、一応あり得るだろうと思えるのは、マハラルエルとエノクの六十五歳、「まさか!」と疑うのがケナンの七十歳、それ以外は考えるまでもなく不可能として無視するのではないでしょうか。
この人々は、後継者を生む前にどれだけの子どもたちを生んだか解りませんが、この後もノアを除いて全員が、息子、娘たちを生んでいます。
この人々はいったい何歳まで生殖能力を持っていたのでしょうか。
ノアは五百歳で子を生んでいますから、他の人々も五百歳までその能力を持っていただろうと推量しても大きな間違いはないでしょう。
しかし、それが果たして驚くべきことでしょうか? 彼らの寿命を思えば、当たり前のことではないでしょうか。
九百五十歳まで生きた人は、五百歳では人生の半分を超したばかりです。
五百歳の生命力は、少なくとも、私たちの四~五十歳と対比できるのではないでしょうか。
四~五十歳なら、体力・気力が充実していて当然の年齢です。大きな使命を与えられて、船出するのに不足するものはないでしょう。
ノアが箱船建造命令をいつ受けたか確かなことはわかりませんが、五百歳代のいつかです。
そして、大洪水を耐え抜く立派な箱船を建造するためには、主が命じられた通りに箱船を建造しなければなりません。
何人が共に働いたかわかりませんが、その作業を指揮して、やり遂げました。主が命じられた通りに動物たちを箱船に導き、一年余の洪水を無事に乗り越えました。
アダムからノアまで、人々は九百年余の人生をこのように元気に生きていたのです。
私たちの感覚からすると、不老不死とも思える人生だったのです。



