4-2.馬の話:馬のサイズと脚、蹄の指

第4章 馬の話

4-2.馬の話:馬のサイズと脚、蹄の指

彼らがヨセフのところに家畜を引いて来たので、ヨセフは馬、羊の群れ、牛の群れ、およびろばと引き替えに、食物を彼らに与えた。こうして彼はその年、すべての家畜と引き替えた食物で彼らを切り抜けさせた。(創世記47:17)

家畜馬や宮崎県の都井岬にいる野生馬など私たちに馴染みの深い馬は、動物分類学では、奇蹄類目・馬科・馬属(エクウス)・馬種に分類されています。馬科に属する動物は、そのほとんどが絶滅してしまっており、約20種類の馬属は化石によってのみ知られています。「馬の進化図」は、生物が「悠久の時間をかけて進化した」ことの有力な証拠として使われ続けてきており、その最終段階として描かれているのがエクウスです。進化にしたがって体は順次大きくなり、体型・蹄・歯などが変わってきて、エクウスになったと説明されています。現存する馬科動物はすべてエクウスという単一の馬属の動物で、次の六種から構成されています。まず第一に、家畜馬とその近縁関係にある野生馬、第二にロバ、第三にオナガー(野生ロバの1種、体高110-120cm)、そしてそれぞれ別種のシマウマ三種とで、計六種です。

これらのエクウスは大きさ・体型において、又その他の性質においても多種多様です。例えば大きさでは、サラブレッドは体高158-165cm、体重450-520kg、世界最大の馬シャイヤーは165-175cm, 1,000kgにもなります。一方、小さい馬ではシェトランド・ポニーは体高90-110cm, 体重125-175kg、最小種であるファラベラ馬は、体高50cm位にしかなりません。中間的な大きさの馬は、アラブ馬(148-158cm, 350-450kg)、岬馬(125-138cm)、ロバ(100-150cm, 300-400kg)、蒙古馬(120-130cm)、中国のクーラン(-110cm)、とから馬(100-110cm)など、様々な馬が現在生存しています。

一方、馬への進化過程として出現した、とされている動物の大きさを見てみると、突然出現したので(進化論では必ず祖先が存在しなければなりません。フェナコドウスという動物を祖先とする説もあります)、進化論者を深い謎に包んだヒラコテリウム(エオヒップス)は、体高25-50cmで小さく、そして順にメソヒップス:50-60cm、メリキップス:約100cm、プリオヒップス:約110cm、そして最後にエクウスは150cmと、進化に伴って段々大きくなったと教科書などに記載されています。ヒラコテリウムの体型は馬科動物の特徴を備えておらず、岩だぬきに似ていただろうと推測されることについては、前回触れました。これ以外は、仮に馬科動物に似ているとしても、その大きさは、現在生存している馬の大きさの範囲に完全に入り、進化した ので大きくなったという仮説が支持されないことは明らかです。

進化論者はヒラコテリウムとメソヒップスは森林に生息し、メリキップスの段階から草原に移住したと考えています。進化論者によって体の大きさと共に頻繁に挙げられるのは、脚の長さ・構造や蹄の指の数です。生息地が「森から草原に移ったことにより、走りやすい格好に変わっていきました」という説明がよくなされています。メソヒップスは脚は長く、前後肢とも3本指、メリキップスも指は三本のままであったと考える説が有力なようですが、前脚と脛の長さはその頂点に達し、尺骨が橈骨に固く融合し、後ろ足の腓骨はすでに骨幹の多くの部分を失って全体的な構造が、現在の馬に非常に近くなりました。プリオヒップスは、進化論では約600万年前に生存し、背の高さは1メートルを超え、1本の指だけで歩いた最初の馬と位置づけられています。

「進化はこのように起こった」という仮説に合致するように「化石」を並べているのですが、ヒラコテリウムからメソヒップスへの変化の過程については、それを支持する化石は発見されていません。数多く発見された化石は、単一の歯や、顎、その他の骨のかけらなど断片的なもので、頭蓋骨全体の化石さえ発見されるのは珍しく、各部分が完全に近い骨格は極めて少ないのです。又、進化の順番として並べられたそれ以外のものについても、同様に化石は非常に不完全です。したがって、それら化石は、よく似た様々な種の四つ足動物が過去に存在した証拠であって、互いの種の類縁関係を証明するものではありません。

化石が生じた年代に関する考察は次回以降にしますが、例えば、アメリカ・オレゴン州北東部で、指が三つのネオヒッパリオン(下記のヒッパリオンも共に、メリキップスとほぼ同時期の化石とされています)と指が一つのプリオヒップスが同じ地層から発見されています。又、ヒッパリオンと現代の馬との相違は基本的には些細なものであり、今日でも、時々三本指の馬が突然変異で生まれることがあるようです。

家畜馬、野生馬などが創造主により創造された後に(創世記1:25)、馬やロバは人々の生活に様々な形で関わってきたことが、聖書には数多く記載されています。これら、家畜、野生馬、ロバなどがノアの洪水などにより化石として後世に残されたものと創造論では考えられます。

三本指のメリキップス


参考文献:「創造」Vol.3, No.4(1999);「馬と進化」(G.G.シンプソン/どうぶつ社);「動物」学研の観察図鑑6 今泉忠明監修(1995)「進化論に疑問あり」(リチャード・ミルトン著);チャート式「新生物ⅠB・Ⅱ」(小林 弘著/数研出版)(2002);生物図録(鈴木孝仁監修/数研出版)