6-40.地層・化石の年代推定法

第6章 ノアの洪水

6-40.地層・化石の年代推定法

水は、いよいよ地の上に増し加わり、天の下にあるどの高い山々も、すべておおわれた。水は、その上さらに十五キュビト増し加わったので、山々はおおわれてしまった。こうして地の上を動いていたすべての肉なるものは、鳥も家畜も獣も地に群生するすべてのものも、またすべての人も死に絶えた。いのちの息を吹き込まれたもので、かわいた地の上にいたものはみな死んだ。こうして、主は地上のすべての生き物を、人をはじめ、動物、はうもの、空の鳥に至るまで消し去った。それらは、地から消し去られた。ただノアと、彼といっしょに箱舟にいたものたちだけが残った(創世記7:19-23)。

 地球の年齢、地層・化石の年代に話が及ぶと、「地質学、考古学、天文学などの『学問体系』を否定するのか」という反応が、殆ど自動的に人々の頭の中に湧き上がります。
「聖書は信仰であり、書かれていることは神話である」と線引きをし、営々と築き上げた知性の集積である科学とは相容れないものであると、多くの人々が考えています。
つまり、そのような堅い「科学信仰」が人々の中に根付いているのです。聖書を信じるキリスト信仰者の中にも、残念ながらこの科学信仰という、もう一つの信仰を遵奉している人々がそんなに少なくありません。
そして、「キリスト信仰を取るか、科学を取るか」という訳の分からない論議が巻き起こります。

 この読み切り連載のショートメッセージの大見出しは「聖書と科学」であり、「聖書か、科学か」ではありません。
創造主は、ご自身のかたちを映して人を造り、お与えになった様々な優れた特性の中に、科学する能力が含まれていました。
「主が知恵を与え、御口を通して知識と英知を与えられる」(箴言2:6)と書かれているように、主に管理を託された人類が、主が定められた自然界の諸法則や自然界のことを学ぶ道・科学を、主ご自身が先導して進めてくださっているのです。
つまり、キリスト信仰と自然科学は堅く握手して、共に栄えていくべき道を主は初めからご用意下さったのです。
この大前提を肝に銘じて納得した上で、地層の話、化石の話を読み進めてくださると幸いです。地層・化石の年代の話は、誰が語ろうとも、科学の話であり、科学を踏み外してはならないのです。
キリスト信仰に立つ者は、正しい科学を真正面から見据えて、尊重・推進し、創造主の作品の見事さを少しずつ学ばせていただいて、主の栄光を称えているのです。

 前の項で化石の生成過程について、世間の常識に疑問を投げかけました。地球の年齢は45億年とも、60億年とも、どちらであっても大差はない膨大な数値が信じられています。
新聞やテレビのニュースにおいて、又は科学を語る場で、「発見された化石は350万年前のものであると、科学的に決定された」と、著名な学者の権威と共に事実として報道されますので、この数字に疑問を差し挟むのは、科学を否定する行為であると、大多数の人々は信じて疑いません。
ですから、数字を問題にする前に、まず地球の年齢や、何千万年前という地層や化石の年代がどのようにして算出されているのか、その方法をなるべく易しく学びたいと思います。

地球の年齢は、
①ビッグバン説による地球が融解した熱の塊から現状にまで冷却する時間、
②海水に含まれる塩分が現状に到達するまでの時間、
③堆積岩が現状にまで積もるのに要する時間などを、数多くの仮定を設けて推定されました。
これらの方法による結果は互いに大きく異なっていたことと、いずれの結果を採用しようとも、進化に要するであろうと想像される年月とは遙かに桁違いの小さな数値が得られたので、これらの推定結果は捨て去られました。

 二十世紀に入り、自然科学は大きく発展し、放射性同位元素法という有力な年代測定法が開発されました。
放射性同位元素は原子核が崩壊して、莫大なエネルギー・放射能を放出して異なった元素に変わります。広島、長崎に落とされた原子爆弾は、そのような性質を人類が悪用した例だったのです。
さて、放射性同位元素の一つ、有名なウランを例にとって説明しますと、ウランは原子核崩壊を起こして別の元素になりますが、その量が半分になるのに要する時間(半減期)は50億年です(この数値の正確性は不問にします、非常に長い期間と理解してください)。
これが次の元素に崩壊する半減期は23日、その次の元素に崩壊する半減期は7時間、次は27万年、次は8万年などと、次々と放射能を放出して崩壊し、途中ラジウムやラドンなどを経由して、十四段階の崩壊を経た後、最後に崩壊しない安定な元素、鉛になります。
この放射崩壊系列で最も寿命の短い同位元素の半減期は僅か1/5000秒です。

 このようにそれぞれの放射性同位元素の半減期が異なることを利用して、試料を採取し、その中に含まれるそれぞれの放射性同位元素の量比を測定し、その試料の年代を推定する方法を放射性同位元素法と言います。
但し、年代を推測するためには、幾つもの重大な仮定を設けなければ計算することができません。今回は方法の原理だけを説明しましたが、次回は少し詳細にわたって説明したいと思います。


参考文献:「進化論の争点」シルビア・ベーカー著、宇佐神正海訳、「創造論の世界」久保有政著、「General Chemistry」by J.E.Brady & G.E.Humiston