1-4.ヘッケルの反復説

第1章 進化論の矛盾

1-4.ヘッケルの反復説

神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。

それで神は、海の巨獣と、その種類にしたがって、水に群がりうごめくすべての生き物と、その種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。神は見て、それをよしとされた。神は、その種類にしたがって野の獣、その種類にしたがって家畜、その種類にしたがって地のすべてのはうものを造られた。神は見て、それをよしとされた。そして神は、「われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。そして彼らに、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配させよう。」と仰せられた。神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。 (創世記1:21, 25-27)

 動物の各個体は一つの細胞から始まり、分裂を繰り返して細胞数が増加・成長して、遂に個々の特徴をもって生まれてきます。その各個体発生の過程において、進化の全段階を経由するという考え方を、二十世紀初頭にヘッケルという人が提唱しました。ウマでも、サルでも、ヒトでも、一つの細胞から始まり、進化の系統樹に描かれている各生物種の進化の過程-魚の段階、は虫類の段階など、進化の全段階を母親の胎内で辿り、遂にそれぞれの生物種となって生まれてくるのだという説です。この「個体発生は系統発生を繰り返す・ヘッケルの反復説」は、現在に至ってもなお、中学・高校で広く教えられています。

 魚・サンショウウオ・ニワトリ・イヌ・ヒトなど多数の脊椎動物の発生段階において魚・両生類・は虫類など個々の段階を示す図を証拠として発表し、この説が正しいとヘッケルは主張しました。彼によって示された図は、確かに魚と極めて似通った形をしていました。したがって、それがサルであってもヒトであっても、各個体は発生の途中で、このように魚の段階を経由し、その後順番に進化の各段階を辿って、遂にテナガザルとなって生まれ、或いはヒトはヒトとなって生まれてくるのだと説明し、進化の証拠だとしたのです。

 実は、彼は魚の段階を経由すると言うために、原図からへそ、顎、足、その他の哺乳類の特徴を示す部分を削り取った図を発表したのです。このような単純な捏造は、当然発覚しました。そして、自分で図を書き替えたと、1909年、今から93年前に、ヘッケル自身が告白しました。

 魚段階とされたヒトの胎児は、実際には魚の姿とは大きく異なり、魚のエラと同じとされた部分も呼吸器官ではありません。したがって、魚の段階を経由しません。事実は仮説を否定したのです。今更取り上げてこのことに言及するのは滑稽である位遠い昔に、この説は本人によって完全に否定されているのですから、第一線の研究者どころか、少しものを知っている人々には、この説が捏造された証拠によって作り上げられたものであることは周知の事実である筈です。しかしながら、現在でもヘッケルの反復説が中学・高校の教科書に書かれ、教育の現場で進化の証拠であるかのように教えられているのです。特別に生物学を大学で専攻する人々以外は、高校で教えられたままに頭の片隅に記憶として留まり、生涯を過ごすことになるでしょう。これを信じた大勢の人は、もし質問されれば、自分は母親の胎内で魚段階を辿り、両生類、は虫類などの段階を辿った後に、人として生まれてきたのだと答えるのではないでしょうか?

 聖書は、水に住むものは水に住むものとして、地上を這うものは這うものとして、空を飛ぶものは飛ぶものとして、獣は獣として、種類毎に別々の生物として創造主が造られたと書かれています。そして、人間は創造主の息を吹き込まれて、創造主のかたちに似せて特別に造られたと書かれているのです。