5-32.アダムのあばら骨

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-32.アダムのあばら骨

そこで神である主が、深い眠りをその人に下されたので彼は眠った。それで、彼のあばら骨の一つを取り、そのところの肉をふさがれた。こうして神である主は、人から取ったあばら骨を、ひとりの女に造り上げ、その女を人のところに連れて来られた。すると人は言った。「これこそ、今や、私の骨からの骨、私の肉からの肉。これを女と名づけよう。これは男から取られたのだから。」(創世記2:21-23)

 そこで神である主が、深い眠りをその人に下されたので彼は眠った。それで、彼のあばら骨の一つを取り、そのところの肉をふさがれた。こうして神である主は、人から取ったあばら骨を、ひとりの女に造り上げ、その女を人のところに連れて来られた。すると人は言った。「これこそ、今や、私の骨からの骨、私の肉からの肉。これを女と名づけよう。これは男から取られたのだから。」(創世記2:21-23)

 最初の女を創造するために、創造主は非常に特別な驚くべき方法を使われました。主は人類史上最初の外科手術を行って、アダムのあばら骨一本を取ってエバをお造りになったのです。それ故に、アダムとエバは性染色体を除いて全く同一の遺伝子を持ち、まさに「一体」だったのです。
この「あばら骨」という翻訳はまずい、原語のヘブル語は「脇」を意味しているだけだという見解もあるようで、頭(アダムより優れていることを示す)でも、足(アダムより劣っていることを示す)でもなく、「脇」というのは対等であることを示すのだと説明されています。

 しかし、対等を示す言葉という観点からは、「あばら骨」も「脇」も大差はないと思われます。また、日本語訳5種、英語訳4種を見てみると、いずれも「あばら骨または肋骨一本」、「脇の肋骨」、「one of his ribs」などと訳されており、「一」という数字を示す意味ではあばら骨または肋骨のほうが適切かもしれません。図に示すように人の胸部の骨格は、胸骨についた12対の軟骨(灰色で示す)と肋骨(肌色で示す)から成り立っており、肋骨は脇にあります。

 生きた肉であるエバが創造されるためには、無機物に過ぎない、死んだ「骨」ではなく、生きた「肉」が使われたはずだという観念が、「肋骨」という翻訳に疑問を抱かせることになったのかも知れません。リン酸カルシウムで代表される無機質、火葬後の灰に近い遺骨、あるいは理科室に立っている石膏の骨格模型など、「骨」は死んだものとして理解されているのではないでしょうか。骨は本当に死んだ組織なのでしょうか。骨の中心部にある骨髄部分以外の死んでいると思われている骨を分析した結果を表に示します。

骨を分析した結果

体の他の部位に比べれば無機成分が多いのは事実ですが50%以下であり、一方、生命反応が行われる場を提供するために必要な水分は20%以上、蛋白質は実に30%も含まれています。この分析値からも、骨髄以外の骨の部分も生きており、生命反応が行われていることをうかがい知ることができます。

 図に示したように骨を真ん中で縦割りにしてその中を見てみると、血管が縦横に走り緻密な構造が構築されています。一番外側は薄い骨膜で、骨芽細胞を含み、血管と神経がたくさん通っています。骨膜の内側にリン酸カルシウムに富む円筒、骨細胞、血管、そして神経などの組織がぎっしりつまっています。内層は細かい骨が編み目のように組合わさった海綿質骨でできており、この海綿質骨と中心の空洞に骨髄がつまっています。

 骨髄細胞は盛んに細胞分裂をして絶えず再生・増殖しており、また骨髄は血球の製造工場で、活発に造血作用を行い、毎日実に2,000億個の赤血球を作り、白血球やリンパ球なども作っています。このように血が通い、酸素や栄養分が豊かに送られ、造血作用など活発に生命反応を営んでいる骨は生きた組織なのです。骨に貯えられたリン酸カルシウムなども代謝回転していて、数ヶ月で完全に新しくなります。
エバの創造のためにアダムから取られた肋骨は、死んだ骨ではなくこのように生きた骨だったのです。エバはまさしくアダムの「骨からの骨、肉からの肉」だったのです。

 さて、アダムは主によって肋骨を1本取られました。そのために、男性は女性より肋骨が1本少ないと思っている人々がいるようです。しかし、事故や病気で指や足を失っても子孫の指や足に変化が起こらないのと同じように、アダムの肋骨が1本少ないという情報は遺伝子に組み込まれたのではありませんから、カインやセツを始め、子供たちや子孫の誰にも伝わりませんでした。
しかし、そもそもアダムの肋骨の数は生涯1本少ないまま修復されなかったでしょうか。主が肋骨を取られる時に、再生能力の優れた骨膜を無傷で残されたでしょうから、手術後、長い期間を待たずして再生し、アダムの肋骨は元通り完全になっていたと考えられます。


創造、Vol.4, No.2 , 2000(創造科学研究会)、「創世記の記録」ヘンリー・モリス著(創造科学研究会)、「創造論の世界」久保有政著「科学大辞典」(国際科学振興財団編、丸善)、図説「人体の構造」L・D・ブルーン他著(ほるぷ出版)、臨床検査学講座「生化学」、阿南功一他著(医歯薬出版)