5-33.創造に六日かけられた理由

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-33.創造に六日かけられた理由

こうして、天と地とそのすべての万象が完成された。それで神は、第七日目に、なさっていたわざの完成を告げられた。すなわち、第七日目に、なさっていたすべてのわざを休まれた。神はその第七日目を祝福し、この日を聖であるとされた。それは、その日に、神がなさっていたすべての創造のわざを休まれたからである(創世記2:1-3)。

 創造主はまず天と地とその中にあるものすべてを造り、最後にご自身のみ姿に似せて人をお造りになりました。この全宇宙と造られたいのちを、そして創造主ご自身を理解しようとするときに、人間は自分の小ささ、罪の深さに基準を合わせてしまいます。それで、世界の始まりから今まで地球全体を揺るがす大変動は無かったと信じる斉一説を考え出し、強く根深い進化論信仰を打ち立て世界中に広めました。そして、ついにはクリスチャンたちもたぶらかされてしまうほどになり、「有神進化論」という考えが提出されました。
 創造主を、すなわち聖書全体を否定することになる進化論信仰と、イエス・キリストを救い主とする信仰とは真っ向から対立し、決して両立し得ないにも拘わらず、多くのクリスチャンたちの目が眩んでしまったのです。この素晴らしい宇宙を、地球を、とりわけ無限の神秘を秘めているいのちを、そして人間までも創造することの不思議な作業を、「たとえ創造主であろうとたった六日間で完了できるはずがない」と、とんでもない冒涜的人間中心思想に落ち込んで騙されてしまったのです。

 この創造のみ業のすべてが、聖書に書かれている通りに六日間で行われたことについて、「六日間(144時間)の天地創造」のシリーズで、「夕と朝によって刻まれた一日」、および「創造の一日は24時間」の二つの項ですでに学びました。しかし、六日間かけなければ出来なかったのではなく、すべての創造を、一日で、あるいは一瞬のうちに完了なさることが主にはできたはずです。それなのに、なぜ、六日もかけられたのでしょう。すべてのことを完璧になさる主であることを考えると、六日かける理由があったためにそうなさったに違いありません。
 「神の富と知恵と知識のなんと深いことか。だれが、神の定めを究め尽くし、神の道を理解し尽くせよう」(ローマ書11:33)とパウロが述べている通り、創造主を本当に理解することは人には不可能ですが、六日かけて創造し七日目に休まれたのには明確な理由を主は持っておられたということを、聖書から少しだけ学びたいと思います。

 九十九歳のアブラハムに「わたしは全能の神である。」(創世記17:1)とご自身を現された創造主は、人間にはその「深さを見抜くこと」も、「全能者の極限を見つけること」もできない(ヨブ記11:7)大きなお方です。「万物を創造され」、「キリストを死者の中からよみがえらせた全能者」(エペソ1:20、3:9)であり、「全能者」として「正義」をなす方(ヨブ記8:3)です。「すべてのことが、神から発し、神によって成り、神に至る」(ローマ書11:36)と、創造主に対して全幅の信頼を置くことができるのです。「高ぶって、多くを語ってはなりません。横柄なことばを口から出してはなりません。まことに主は、すべてを知る神。そのみわざは確かです」(Ⅰサムエル2:3)と、主を主として畏敬の念を抱くことの大切さが述べられています。そして 「神は愛です。愛のうちにいる者は神のうちにおり、神もその人のうちにおられます」(Ⅰヨハネ4:16)と、罪深い人間まで変えるほどの「人知をはるかに越えたキリストの愛」(エペソ3:19)が聖書の随所に語られています。

 さて、六日間かけて創造の働きをされて七日目に休まれたことの理由が、聖書に書かれています。「六日間、働いて、あなたのすべての仕事をしなければならない。しかし七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたはどんな仕事もしてはならない。・・・・それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された」(出エジプト記20:9-11)
 つまり、創造主は、生活の規範、働き方の見本を私たちに示されたのだとここに書かれているのです。人は六日間働き、週の最後の日は一日休息しなさいと人々に教えられたのです。主が定められたことは、完璧・無欠・正義・愛という主のご性質を離れるものは何一つ無く、すべて正しいのです。後になって安息日が極度に歪められてしまったことは、おぞましく悲しい人の罪による所業に過ぎません(マルコ2:27-28)。イエス・キリストを信じた者は、創造主が「すべてのみわざを終えて七日目に休まれたように」「神の安息にはいるのです」(ヘブル4:3、4、10)


「崩壊する進化論」宇佐神正海著、「創世記の記録」へんりー・M・モリス著、宇佐神正海訳、「創造」Vol. 5, No.2/3 (2001