5-7.上の水

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-7.上の水

ついで神は「大空よ。水の間にあれ。水と水との間に区別があるように。」と仰せられた。こうして神は、大空を造り、大空の下にある水と、大空の上にある水とを区別された。するとそのようになった。神は、その大空を天と名づけられた。こうして夕があり、朝があった。第二日。(創世記1:6-8)

 第一日に、球形の地球が出現し、一方からまことの光が照らし、磁場が取り巻き、地球の自転が始まりました。地球は一面の水で覆われ、第四日に造られる太陽から来る光に含まれる有害光線のうち、波長の長い電磁波が磁場によって遮断されるようになりました。

ここで創造主は大空を造って、地表を覆っていた水を、地上に留まる液体の水(下の水)と、地球の遙か上に気体の状態で留まる水(上の水)とに分けられました。

こうして出来た「上の水」とはどんなものでしょうか?上の水は大気圏の上にあったと聖書が述べていますから、現在空中に浮かんでいる水滴からなる雲と同様のものではないでしょう。当時は地上に雨が無く(創世記2:5)、また虹もなかった(創世記9:13)と記録されていますが、上の水が現在の雲のようなものであったなら、雨も虹も当然あったはずです。ノアの大洪水前に地球を覆っていた水の天蓋は、輪状の氷の粒子からなる系であったとか、液体の水からなる殻、あるいは厚い雲の堤のようなものであったと考えている人もいます。

しかし、上の水は水蒸気、すなわち気体の水と考えるのが妥当だと思われます。創造主は地表を覆っていた水の真ん中に「大気圏」を置き、水にエネルギーを与えて気体に変え、大気の上に上げられたのだと思われます。天体が「地上を照らし」、「しるしのため、季節のため、日のため、年のため」(創世記1:14-15)に役立つためには、可視光線が透過出来なければなりません。雲や霧のような水滴であると透過出来ませんが、気体の水蒸気は完全に透明で可視光線を透過させます

図に薄緑色で示した地球を囲む大気圏に、植物が育ち動物が住み、そして人が住むための環境がこのようにして整えられていきます(この時点では、まだ乾いた地は現れていません)。地球をビーズ玉に模してイメージすると、そのビーズ玉が薄緑色で示した大気圏に囲まれてピンポン玉の真ん中に浮かび、そのピンポン玉全体が青色で示した水蒸気の天蓋で満たされたテニスボールの真ん中にすっぽりと包み込まれているのです。

空中に浮かんだ状態の水蒸気の天蓋は、地上に沈降することもなく安定しており、生命の生息出来る最適な地球環境が整えられます。まず、太陽光線のうち磁場によって取り除けない、生命体にとって有害な紫外線、エックス線、ガンマ線や、その他の破壊的エネルギーを取り除くのに、この水蒸気の天蓋が大きな役割を果たしたことでしょう。これらの放射線は、遺伝子に突然変異を引き起こす原因となり、生物の各個体、ひいては種の生存能力を弱めることがよく知られています。したがって、この水蒸気の天蓋は、人や動物の健康と長寿を維持するために役立ったことでしょう。

第二に水蒸気は太陽光線を透過させ、地球表面からの反射光を放出してしまわず、地球表面全体に拡散させるので、地上のどこででも一定の温かい温度を維持出来た、つまり地球全体が温室状態になったことでしょう。そして、毎日、夜と昼が巡ってきて、地上は温かい温度が保たれていた状態下、水分は霧や露のような局地的な僅かな蒸発と濃縮だけがあって、湿度もまた一定に維持されたと思われます。そして、地上至る所に温かい温度と快適な湿度が保たれていたので、不毛の砂漠も万年氷河もなく、世界中青々とした植物が繁茂できたことでしょう。また、温度が一定だったので、大きな空気団の動き、暴風などはなかったでしょう。

こうして、天地創造の過程で置かれた天の上の水は、後にすべて地上に降り注いでノアの洪水になりましたが、更に来るべき時に主が創造される新しい地球で、元の状態に回復されることでしょう(詩篇148:4, 6)。


「創世記の記録」ヘンリー・モリス著、創造科学研究会(1992)、「創造」vol 3, No.3 & 4 (1999)、「大自然の不思議発見」堀越暢治著、めぐみ教育研究会