6-21.水はどこから?
それから七日たって大洪水の大水が地の上に起こった。ノアの生涯の六百年目の第二の月の十七日、その日に、巨大な大いなる水の源が、ことごとく張り裂け、天の水門が開かれた。そして、大雨は、四十日四十夜、地の上に降った。それから、大洪水が、四十日間、地の上にあった。水かさが増していき、箱舟を押し上げたので、それは、地から浮かび上がった。水はみなぎり、地の上に大いに増し、箱舟は水面を漂った。水は、いよいよ地の上に増し加わり、天の下にあるどの高い山々も、すべておおわれた。水は、その上さらに十五キュビト増し加わったので、山々はおおわれてしまった。水は、百五十日間、地の上にふえ続けた(創世記7:10-12, 17-20, 24)。
創造された地球について不明なことの一つに、主が特別に上に分けられた「大空の上にある水」(創世記1:7)があります。これはどのようなものだったのでしょうか?ある人々は、特別な水ではなく現在の雲を指していると考えています。
他の人々は、大空の上に分けられた水は水蒸気(眼には見えない気体)で、地球をすっぽりと包み込む天蓋のようなものであったと考えています。
現在、地面から約60 km上空まですっぽりと地球を覆っているのは、主として窒素、酸素からなる眼に見えない、無くなるまでその存在さえ認識しない空気です。
気体で覆われているというのは、このような状態のことなのです。空気が地球をすっぽりと覆っていることによって、地球は守られ、地上の生命が維持できているのです。
ジョセフ・ディロウ博士は、12メートルの厚さの水に相当する水蒸気の層を物理的に上空に保持でき、その量は四十日四十夜、雨が降るのに十分な量であると計算しました。
しかし、それほど厚い水蒸気層が地球全体を覆っていたなら、それに伴って圧力や温度が上昇して、正常な地球環境を維持し得ないだろうと、何人かの科学者が指摘しました。
水蒸気の天蓋は最高に見積もっても2メートル以上の雨を含むだけの厚さはなかったであろうとの計算結果を得て、ノアの洪水における主要な水の供給源であった可能性を否定しました。
創世記1:7に、創造主が「水の間に大空」を置いて、「大空の下にある水」と「大空の上にある水」を区別されたと書かれており、「天の水門」を開いて、この大空の上の水を解き放たれたのだとすると、少なくとも現在の雲以上の意味を持ったものであったと思われます。
上に分けられた水は、温暖な地球環境を生み出すのに適切な厚さを持った水蒸気層として置かれたと考えても良いのではないでしょうか。
温帯性気候に育つ植物の化石が極地で発見されている事実も、大陸移動を考えなくても説明がつくでしょう。地球環境が均質であったなら、全種類の動物を集めることも、ノアにとって殊更に困難なことではなかったかもしれません。もとより、主の超自然的御介入があれば不可能はありませんけれども。
「巨大な大いなる水の源が、ことごとく張り裂けた」ことが、ノアの洪水の主な水の供給源であるとしたら、この水の源とは一体何でしょうか。聖書に「大いなる水の源、淵」と使われている言葉は、海(創世記8:2, イザヤ51:10)や地下の水源(エゼキエル31:4, 15)などを指しています。「源(fountain)」と訳されているヘブル語(マヤン)は、「水源、泉、源」という意味です。
主が創造の第三日に、水の下から乾いた大地を現れさせたとき、地球を覆っていた水の一部は地の下に閉じこめられたと考える人々がいます。恐らく海や地面或いは海洋底の地下の水源などがすべて「張り裂け」て、それまで地下にとどめられていた果てしもない大きな水源が、張り裂けた数多くの裂け目からまさしく堰を切って落とされて、凄まじい勢いで一挙に吹き出し、溢れ出てきたのでしょう。
「水の源」が張り裂けるという現象が生じた原因、および詳細な内容は分かりません。オースティン博士らは、洪水モデルを使って洪水開始時に地殻プレートの水平方向の移動が加速するにつれて温度が上昇し、海洋底が2kmまで急速に上昇したと報告しました。このようなことが起これば、海水が陸地に溢れ出てまさに大洪水を起こすでしょう。
地殻が張り裂け、地下の水脈全体に及ぶ急激な水圧の上昇、連続した強烈な火山活動、変成作用、その他諸々の地殻の変動・変形・移動が起こり、地殻の隔壁をさらに弱くし、地面からさらに大量の水が溢れ出て、全世界に及ぶ連鎖反応に発展したことでしょう。
これらの水源の破壊を伴った火山の大爆発は、地球のマントル(地殻と地核の間にある部分で、厚さ約3千キロと推定されている)まで掻き回され、水だけでなくさらに大量のマグマを溢れ出させたことでしょう。大量の霧状の水と、大気圏で荒れ狂い膨張しながら冷却している気体、凝結時に核となる大量の火山灰や他の粒子が、水蒸気である上の水の層に入り込み、別の連鎖反応を引き起こし、水蒸気は液化し、合わさって、地球全体に土砂降りの雨となって降り注ぎ始めたことでしょう。
現在、火山から出てくるものの70 %以上が水であり、しばしば蒸気の形で激しく噴き出してくることも、激しさにおいてその比ではなかったと想像されるにしても興味深いことです。
「創世記の記録」ヘンリー・モリス著、宇佐神正海訳(創造科学研究会)、「アンサーズブック」ケン・ハム、ジョナサン・サーファティ、カール・ウィーランド共著、梧桐亘介訳(ICM出版)、「創造論の世界」久保有政著(徳間書店)、創造科学季刊誌「創造」Vol.1 No.3 (1997)



