6-22.完璧な地球の壊滅

第6章 ノアの洪水

6-22.完璧な地球の壊滅

あなたは、深い水を衣のようにして、地をおおわれました。水は、山々の上にとどまっていました。水は、あなたに叱られて逃げ、あなたの雷の声で急ぎ去りました。山は上がり、谷は沈みました。あなたが定めたその場所へと。あなたは境を定め、水がそれを越えないようにされました。水が再び地をおおうことのないようにされました。(詩篇104:6-9)

 創造のはじめに地球を覆っていた水(創世記1:2)から、みことばに従って地面が現れ(創世記1:9、第二ペテロ3:5-6)、水は人の眼に触れるかたちとして、或いは触れないかたちとしても、海に、地下にそして上の水として置かれました。その水が地上に集められ、溢れて、地球は再びすっぽりと水に覆われました。
洪水が終結したとき、この水はどこへ行ったのでしょう?
主が地球の周り、或いは全宇宙から拭い去ってしまわれたのでしょうか?超自然を考えることはいつでも可能ではあります。
しかし、まず人間の理解できる範囲の知恵と知識で、主が定められた自然界の諸法則に照らし合わせて考えてみましょう。

 人の住まいとするために地球、そしてその上にあるものを主がどのように整えられたかを、「六日間の創造」シリーズで学びました。「水の惑星」、「神の霊によって」、「大地」などいくつかの項において、水について及びその重要性について、様々な観点から考察しました。
現在の地球は、谷や川があり、池や湖があり、海があり、深い海溝もあって、そして全体として地表の70%が水で覆われています。しかし、同時に残りの30%は陸地であり、平地とともにエベレスト山をはじめとする高い山々もあります。これら陸地も山々も大洪水によって水の下に沈んでいた筈ですから、その後、この大量の水はどこへ行ってしまったのでしょう。
詩篇104:6-9が答を与えています。水が山々を覆った後、「神が水を叱り、水が逃げました」(7節)。神が水を叱責された結果、水が動いた出来事としては、出エジプトの有名な記事(出エジプト14:21, 22, 26-28)があり、またイエス様も風と荒波をお叱りになると、静まって凪になった(ルカ8:24)と書かれています。

 そして、「山があがり、谷は沈みました」(8節)。洪水の時、「高い山々」と書かれている山々の実際の高さは不明ですが、少なくとも現在と比べて、山は相当低く、海は浅かったと考えられています。現在各地で起こっている洪水は、ノアの洪水に比べれば小さな局地的洪水と言えるでしょう。
その局地的洪水でさえ、非常に大きなエネルギーを猛然たる勢いで爆発させることはよく知られています。激しい勢いで泥をえぐり、岩を削り、地中深く根を張ってびくともしない筈の大木を根こそぎにし、地の底まで掘り起こしたかのような印象を与えるほどに、あらゆるものを浸食し運び去ります。

 ましてや百五十日間も全地球を覆った大洪水の凄まじさは、想像を絶するものだったでしょう。最高の傑作として造られた地球のすべて、地表はもとよりのこと、地殻にまで相当深く破壊力は及んだことでしょう。陸や岩の再編成によって巨大な陸の塊、新しい陸地が洪水の水の下から隆起し山々が上昇し、谷は逆にさらに沈下しました。
洪水の水を陸地で支えていた自然のダムが崩れ、陸地の表面から水が急速に流れ出たことによっても水は氾濫したでしょう。全世界中で浸食された土壌や岩は激しい勢いで流され、蓄積して新しい堆積岩を生じたことでしょう。こうして、それまで無かった高い山が築かれ、また、海底がえぐられ、奈落の底かと思われるほど深い海溝ができました。

 全地球の大騒動が終結に向かったとき、水の一部は地下水や地殻の溶岩に吸収されたことでしょう。しかし、大部分の水は、この底知れぬ深淵、海溝に流れ込んで収容され、現在の深い海ができあがったのでしょう。創造された地球、すなわち大洪水の時の地形は高低差の小さい、なだらかなものであったと考えられています。
現在、地球は見えている陸地の地形はもとより、海洋底の岩の表面の地形も非常に大きな高低差があります。この地形の相違を念頭に置かないで、ノアの洪水の時に地球全体を覆い尽くしたほどの水量は、どこにもなかったという議論が展開されるのです。しかし、現在の地球を、陸地も海洋底も地表全体を平らにしたなら、海の水は地表をすべて覆い尽くし、実に全地球が2.7キロメートルの深さの海底に沈んでしまう、まさに水の惑星そのものなのです。

 このような形成過程を経て出来た堆積岩が、全世界に豊富にあるだけではなく、これら堆積岩の中に、水生生物の化石が数多く含まれている事実は、急速に水の中で堆積層が形成されたことを示す証拠です。化石が生成され保持されるためには、遺体が急速に埋没した後、しかるべき化石化作用を経由する必要があります。
そうでなければ遺体は崩壊してしまうか、または他の動物に食べられて消失してしまいます。世界の最高峰エベレスト山は8 km以上の高さがあります。このエベレスト山を含め多くの高山は水によって沈積した水成岩であり、海洋生物の化石をしばしば含んでいます。このような高い山々が化石を埋蔵した堆積岩であることは、大洪水によって形成されたことの明確な証拠なのです。

「そこで神は境界を定め、水が再び地を覆うことの無いようになさいました」と9節に締めくくられています。こうして、主によって洪水が終息されました。完璧なものとして造られた地球が、人々の罪のためにノアの洪水によって壊滅しました。創造主ご自身の裁きの御手によって、地球の地形が変えられたのです。


参考文献:「創世記の記録」ヘンリー・モリス著、創造科学研究会、「アンサーズブック」ケン・ハム等、ICM Press、「新・科学の説明が聖書に近づいた」久保有政著、レムナント出版