5-10.動物と植物の共生

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-10.動物と植物の共生

神が、「地は植物、種を生じる草、種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ。」と仰せられると、そのようになった。それで、地は植物、おのおのその種類にしたがって種を生じる草、おのおのその種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ木を生じた。神は見て、それをよしとされた。こうして夕があり、朝があった。第三日。(創世記1:11-1:13)

果樹など複雑な形態と機能を備えた植物も含め、すべての種類の植物が第三日に創造されたとき、上の水に守られた地球にはすでに陸と海が出来ており、昼と夜で刻まれる1日が設定されていましたが、太陽や星はまだ創造されてはいませんでした。植物は、光合成によって炭酸ガスと水を有機エネルギーに変換し、さらに、根から吸収した地中の窒素化合物やリン酸などを使いタンパク質など様々な成分を合成して、図のように大きくなるのです。

創造された様々な植物が、いかに複雑な形態や優れた機能を与えられていたかは、精巧な構造を持つ葉緑体、そしてそこで行われる光合成機能だけを取り上げても明らかです。そして、これら植物は、どんな下等動物も造られる前に創造されたと書かれています。進化論では、下等な無脊椎動物や海生動物が先に「生じ」、高等植物まで進化するのは何億年も後だと教えますので、それが私たちの頭の片隅にしっかりと根を張っているようです。しかし、脊椎動物を始めどんな下等な動物も、陸にも海にもまだ創造されていませんでした。

さて、第三日に創造されたこれら植物は、すでに成熟した種(タネ)を持つ青草として、又果実の実る樹木として創造されたことは重要なことです。これらは外見上成熟しているだけではなく、機能的にも完全に成熟した植物として創造されたのです。この創造の過程は、現在起こっている諸々の生物反応とは全く異なっています。すべてのことが創造主によって一度限り行われたことであり、宇宙・地球・植物・動物などに関するすべての法則を、その一つ一つの創造の過程に伴って主が定められたのです。

さて、植物は葉緑体という特殊な生産工場の中で、無機物である炭酸ガスと水の中に光エネルギーを、いわば「封じ込めて」ブドウ糖に変換し、そのエネルギーが動物の生存に役立つようにと、主は植物を創造されました。一方、植物が生存し続けるためには、いのちある生き物の共存が必要でした。1日が24時間でなく仮に長い時間であったとしたらどうでしょうか?もしすぐに動物・昆虫が創造されなかったなら、植物は絶滅したはずなのです。植物が創造されてから昆虫のいない期間が何年も続いたら、ほとんどの顕花植物(花を咲かせる植物)は受粉出来なくて絶滅したはずです。実際現在でも、昆虫や鳥が絶滅したために、その結果として短い期間に植物が絶滅するということが起こっています。様々な動植物が、共生関係(互いに支え合って生存する)を維持するように造られたのです。創造の1日は何千年、何万年、地質年代でさえあるかも知れないという説の誤りを先に指摘しましたが、植物の生態からも1日が長い期間と考えることは不可能なのです。

「炭酸ガスと水から酸素とブドウ糖が生合成される」と、簡単に言いました。水については、非常に大切なことなので、前回までに視点を変えて何回か述べました。では、光合成が正常に行われるためには炭酸ガスはどれだけ存在する必要があったでしょうか?炭酸ガスと水と光があれば、植物は酸素を必要としなかったのでしょうか?地球が創成された時点において、大気の組成はどのようだったのでしょう?ちなみに現在の大気は、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素(炭酸ガス)、その他からなっています。地球が創成されたとき、大気は現在とほぼ同じだったという説もありますが、一方で、酸素はなかった、酸素は植物起源であるという説もあります。次回、地球創成時の大気組成について考えたいと思います。


「創世記の記録」ヘンリー・モリス著、創造科学研究会(1992)、「創造」vol. 3, 4 (1999)、「科学の説明が聖書に近づいた」久保有政著、レムナント出版、「地球と生命の起源」酒井 均著、講談社