創造主に出会って ~第二十三章~

創造主に出会って ~第二十三章~

継父の事

 継父とは、小学二年生から高校卒業まで共に暮らしておりました。彼は、私に対しては優しかったのですが、私は、彼を父と認めるのが嫌で、自分の戸籍を彼の戸籍から実父の戸籍に移してしまいました。それで、母の名前が長井なのに、私の旧姓が清水なのです。
そんな私に対して咎めもせずに、相変わらず優しく接してくれました。

 信仰に関しては別で、ことごとく反発がありました。彼は、読書家で家に蔵書が山積みされていました。又、太極拳や気功に熱中しており、気の働きによってあらゆる病が癒されると言っていました。
毎年、市民健診を受けていて、健康体を誇っておりました。私たちも100まで生きるのではないか?と思っておりましたが、86歳の時に市民検診で白血病が発見されました。彼は、気功で治すと励んでおりましたが、早い時期に重態になってしまいました。

 私は、必死に福音を伝えましたが、「章子。お前の方が騙されているのだ。」と福音を拒否し続けたのです。いよいよ危なくなった時、腸からの出血があり、痛みが出ていました。
継父は、私の手を患部に当てさせました。すると、痛みが軽減するので、「章子、お前には、強い気が出ている。」と言って、ずっと、その場所に手を置き続けるように言うのです。
私も疲れて休むと、「お前の手は、ここ。」と又、私の手を置かせました。そんな事が数時間続いた後、猛烈な苦しみが襲ったようで、これが、断末魔の苦しみか・・・その苦悶の様子は、初めて見る恐ろしいものでした。私は、必死に主を呼びました。その後、静かになって、下顎呼吸、チェーンストークス呼吸、そして、呼吸停止が来ました。

 私は、祈っていましたから最後には、信仰告白が聞けるものと期待していたのですが、それは、叶いませんでした。「主イエスを信じなさい。あなたもあなたの家族も救われる。」という約束は、どうなったのか?と思う気持ちと、私自身が彼を家族として受け入れていなかった事への悔いが残りました。

しかし、継父を見舞っている中で、色々な事を話してくれて、「章子がいてくれて良かった。」と私を受け入れてくれていた事は、慰めでした。
1995年1月1日の事でした。

【続きます】

濱本 章子 副牧師