5-12.太陽と月因

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-12.太陽と月因

ついで神は、「光る物は天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のために、役立て。天の大空で光る物となり、地上を照らせ。」と仰せられた。するとそのようになった。それで神は二つの大きな光る物を造られた。大きいほうの光る物には昼をつかさどらせ、小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた(創世記1:14-16)。

 完璧なものとして創造されるいのちを地上に置くための最後の準備段階において、主はこの宇宙空間を満たす天体の完成に取りかかられました。創造の第一日目より地上を照らしていた光と同じ方向から、新たに造られた太陽の光がさすようになり、太陽に面している方が昼、反対側が夜と区別され、地球が一回自転する時間を「1日」と設定されました。したがって、この「1日」は現代の1日という時間の単位と全く同じです。

 次いで、主は地球が太陽の周りを公転するように設定され、1回公転する期間を「1年」と定められました。又、よく知られているように、自転軸と公転軸には約23度のズレがあって地球は傾斜しており、この差によって春夏秋冬という四季を生じています。もし、この差がもっと大きければ、夏と冬の差がより大きくなったでしょうし、差がなければ季節が無くなってしまいます。気温が温かくなると芽が出たり花が咲いたりする植物や、日照時間が長くなると花が咲いたりする植物など、季節が重要な役割を果たします(「上の水」の項で説明したように、地球全体は上の水に包まれていましたので、季節の実態は現在とは異なっていたでしょう)。

 動物も人間にも、時間を感知する精巧な体内時計がありますので、定まった生命リズムが保たれ、恒常性を維持する(ホメオスタシス)機構が働いています(「血液中の無機塩濃度」の項、参照)。体内時計が狂うと、睡眠障害のような症状だけではなく、様々な生体反応において重篤な障害さえ生じることが、昨今明らかになりつつあります。時が正確に刻まれなかったら、地上に生きるすべての人々、そして動物、植物までが大混乱状態に陥るのです。そして、第四日目に造られた天体が、正確に時を刻むという重要な働きを護っているのです。

 太陽系の他の惑星の衛星(月)より遙かに大きな衛星を地球は持っていますが、この月は、太陽と地球との相互の距離、位置、質量など絶妙なバランスを保つように置かれました。地球の裏側に太陽があるときは、月は常に同じ面を地球に向け、太陽の光を同じ明るさで反射して夜の地上を照らすように設計されたのです。地球の引力によって、月は地球の周りを回る公転軌道に乗っています。そして、月もまた、同じ力で地球を引っ張っています。地球上では月に近い場所ほどその力は強く、海面が月に向かって持ち上がり、満潮と呼ばれる現象が起こります。一方、月から一番遠い場所では、月に引っ張られる力が一番弱いので、月とは逆方向に海面が持ち上がり、別の満潮が起こります。中間の場所では海面の高さが下がり、干潮になるのです。月が地球の自転軌道上に置かれているので、約25時間のうちに、満潮と干潮が2回ずつ訪れることになるのです。この潮の干満には、月の大きさと地球からの距離が大きく影響しています。月と地球間の重力の強さは、両方の質量に比例し、両者間の距離の自乗に反比例します。更に、潮の干満を引き起こす力は、距離の三乗に反比例するので、月が大きな質量を持っていることと、地球との距離が適切に近いことによって、現在起こっている大きな潮の干満が見られるのです。もし月が非常に小さかったなら、もし月が非常に遠方であったなら、潮の干満は微々たるものだったでしょう。

 潮の干満は、地球上の生物の生存に不可欠なものでもあります。潮の干満があることによって、海に潮流が出来て絶えず流れ続けるようになり、海水がよどんでしまうことを防いでいます。潮が流れ続け、また海面は上下運動をして、動物の生存に必要な酸素が海水中に均一に溶け込み、また海全体が清浄に保たれ、さらに海岸線もいつも海水によってきれいに洗われているので、水に生きる動植物の生命が維持されているのです。


「創世記の記録」ヘンリー・モリス著、創造科学研究会(1992)、「創造」 vol. 2, No.4 (1998), 「創造」vol. 4, No.1 (2000)