5-15.血液中の血球成分

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-15.血液中の血球成分

しかし神は、みこころに従って、それにからだを与え、おのおのの種にそれぞれのからだをお与えになります。すべての肉が同じではなく、人間の肉もあり、獣の肉もあり、鳥の肉もあり、魚の肉もあります(コリント人への手紙第一15:38, 39)。

 いのちを与えられた動物にとって不可欠な要素である血液は、電解質や非電解質小分子など様々な物質が溶けている優れた溶媒であり((12)「体液の無機成分」参照)、その中に高分子タンパク質が溶け込み、また赤血球をはじめとして各種の細胞、顆粒成分が浮遊して重要な役割を果たしていのちを支えています。この血液成分が正常範囲を逸脱して一定量以上になったり、以下になったり、又相互の一定の比率が崩れたりすると動物は生命を維持できません。
人間では心臓が1日に約7~10万回拍動することによって、牛乳パック5~8千本分(5~8トン)の血液を送り出して全身に新鮮血を与え、汚れた血液を回収しています。全身の血管は毛細血管までつなぐと、地球を二廻り半するほど長く、酸素や栄養分(血清タンパク質、脂質、糖、ビタミンなど)を全身に届け、活動の結果生じた炭酸ガスや老廃物を集めて戻ってきます。

 赤血球は図に示したように真ん中が少し窪み、穴の空いていないドーナツ状で、直径7.7μ、厚さ2.0μ(1μ=1 mmの千分の1)で、細い所も通るしなやかな形状をしています。赤血球に存在するヘモグロビンにはヘム鉄が結合していて、分子状酸素を背負った酸素化ヘモグロビンとなって全身を巡り酸素を配った後に、炭酸ガスを受け取って戻ってきます。この作業が途絶えると、僅か数分以内でいわゆる脳死状態になり、やがて生命の停止に至ります。

[人体の不思議発見](堀越暢治著)より許可を受け転載

 血液中には、体の防御反応を担うリンパ球(各種T細胞及びB細胞)や食細胞など各種の白血球が存在しています。図に示したように、これら白血球は赤血球より大きく、それぞれが特殊な構造と機能を備えていて、病原菌と戦って感染を防ぎ、体を護り、健康を維持するために特殊な働きをしています。人間の細胞一つ一つに、本人である印が付けられていますので、白血球は自己と異なる異物を認識し、病原菌を殺してしまうのです。異物を排除する免疫機構は創造主に与えられた見事な能力ですが、しかし、異物として認識すべき対象の中に、病原菌はもともとは含まれていなかったと考えられます。
人間も全動物もすべて完璧で、病気も老いも死もなく、どんな「争い」もなく、創造主の絶対基準で「良い世界」として創造されたのですから、人間同士、動物間に争いがなかったのはもとよりのこと、病原菌が人間を苦しめたり、蚊やヒルが血を吸ったり、病原菌を媒介したりということが起こるように創造されたのではないと考えられます。これらはすべて、罪が入った後に生じたことです。

 血管が破れて血液が血管外に流れ出した時、赤血球より小さい血小板が傷口に集まってきて、出血を止めるために重要な役割を果たします。「血管に傷が出来た」という反応開始の引き金が引かれると、15種の凝固因子が、まるで一段一段階段を降りていくように、定められた通り順番に活性化され、反応過程が整然と進み、最後の段階で血液に溶けている繊維素が溶けない繊維(フィブリン)へと変化して固まり、出血が止まります。止血という身近な生理反応にさえ、このように繊細で卓越した創造主の叡智が秘められているのです。次回、血液中に溶けている成分および血液の霊的意味について学びます。

追補:動物(例えばイカなど)の中には、ヘモグロビンの代わりにヘモシアニンという青い色をした銅タンパク質を含む血液を持つものがいます。


参考文献:「創造」vol. 4, No.2 (2000);「創世記の記録」ヘンリー・モリス著、創造科学研究会(1992);「人体の不思議発見」堀越暢治著、めぐみ教育研究会(1997);最新医学大辞典、医歯薬出版(1996)、Encyclopaedia Britannica (E. B. Inc, 1973)