5-14.植物細胞と動物細胞

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-14.植物細胞と動物細胞

ついで神は、「水は生き物の群れが、群がるようになれ。また鳥は地の上、天の大空を飛べ。」と仰せられた。それで神は、海の巨獣と、その種類にしたがって、水に群がりうごめくすべての生き物と、その種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。神は見て、それをよしとされた(創世記1:20~21)。

 人の住む所(イザヤ書45:18)として地球を完成するために、創造主は新たに生き物を創造なさいました。(5-9)「エネルギーの形」の項で植物は生物学的には生き物であるが、聖書的には魂のある動物だけが生き物であることを説明しました。植物及び動物の構成単位である細胞を物質として観察すると、基本的な構造は相互によく似ています。倍率の低い光学顕微鏡で細胞を観察していた時代には、「細胞内に核と二三の小器官が存在している」こと位しか分かりませんでした。細胞の詳細が不明なために、動物細胞と植物細胞の類似点だけが観察され、相違点はよく見えませんでした。技術革新に伴って、細胞内小器官の構造や機能、及びこれら小器官や物質が細胞内で動いている様子など詳細に亘って判明し、それに伴って両者の差違も観察されるようになりました。

 図は左側が植物細胞、右側は動物細胞ですが、両者の最大の相違点は葉緑体の有無です。植物細胞は葉緑体を持っていて、光のエネルギーを有機エネルギーに変換する光合成を行う独立栄養であるのに対し、動物は食物として植物を与えられている従属栄養であるということです((5-9)及び(5-10)「植物と動物の共生関係」参照)。つまり、動物はエネルギーを得るために光合成を行う必要がないので、創造主は動物細胞の設計に当たって葉緑体を除かれたのでしょう。そして、中心体を付け加え、ゴルジ体を植物細胞より発達させて標準的な動物細胞とされました。他の重要な相違点は、植物細胞は周囲を細胞壁によって覆われ、やや角張った固い形態を保持しているのに対し、動物細胞は一つ一つが別個の細胞として細胞膜に囲まれていますが、その外側に細胞壁がないので柔軟な形をしていることです。さらに、植物には液胞が存在していることが多いですが、動物細胞には存在しません。

 細胞の機能的中心は細胞核が担っており、自己と同じものを再生産するための遺伝情報を伝達する機能を司っているDNAの大半は、細胞核の中に存在しています。複雑で絶妙に造形された膜構造から出来ているミトコンドリアは、呼吸及び特別な構造を持つ生物エネルギーの産生という重要な役割を担っています。ミトコンドリアにDNAが存在していることが判明したのはそんなに昔ではありませんが、これは興味深いことです。受精に際して精子の核だけが卵子に入って卵割・発生が始まりますから、精子のミトコンドリアのDNA情報は次世代には伝えられないということです。したがって、ミトコンドリアのDNAは(元はアダムから出ていますが、その後)、エバから順に女性を通してのみ伝えられているということです。これ以外に、小胞体と呼ばれる小器官、リボソーム、リソソームなどが、細胞内でそれぞれ重要な役割を担っています。

 細胞自身、そして核やミトコンドリアなど小器官の生体膜は、特別な構造と機能が付与されています。生体膜は脂質(リン脂質や生活習慣病関連で、昨今脚光を浴びている中性脂肪など)で出来ている二重層にタンパク質や糖質が入り組んだ特別な構造を持っていて、内側と外側を隔て物質が自由自在には出入りできません。その一方で、必要な物質は内側へ取り込み、不要な物質は外へ排出するために、エネルギーを使ってまで物質を輸送する特別な機構が組み込まれており、生体膜は物質の透過を制御する重要な役割を果たしています。

 植物と異なり魂のある生き物である動物を創造主が造られたときに、いのちを支えるために設計図に新たに組み込まれた重要な要素について、次回以降も引き続き学びたいと思います。


「創造」vol. 4, No.2 (2000)、「創世記の記録」ヘンリー・モリス著、創造科学研究会(1992)