5-18.生めよ、ふえよ

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-18.生めよ、ふえよ

神はまた、それらを祝福して仰せられた。「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地にふえよ。」こうして、夕があり、朝があった。第五日(創世記1:22~23)。

 宇宙の創造に始まり、人を住まわせるために地球を秩序あるものとして整え、植物を置き、天体を置かれた創造主は、その各段階の作品の出来映えに「良し」と満足を表明されました。そして、いのちある最初の創造物である鳥と水に棲むものには、さらに祝福を与えられました。人間とは違い、動物は創造主の愛の対象ではありませんが、小さな魚や小鳥にさえ、庇護と祝福を与えられたのです。
「そんな雀の一羽でも、あなたがたの父のお許しなしには地に落ちることはありません。」(マタイ10:29)、「あなたがたの天の父がこれを養っていてくださるのです。」(マタイ6:26)と、イエス様ご自身がおっしゃったと、福音書に記録されています。人間は鳥よりももっと優れたものだからというのが論旨ではありますが、雀でさえ創造主の「御前に忘れられていない」(ルカ12:6)で、「養い」、護ってくださっているのだと明確に述べられているのです。

 罪に汚れた人類の歴史は血まみれの記録です。神のみ姿に似せて造られた人が、人間としての尊厳を互いに損ないあっているのみならず、いのちを汚す殺戮の歴史を繰り返し、今も続けていることは改めて言うまでもありません。ですが、ここで敢えて目を留めたいのは、創造主の祝福が小さな魚や鳥にさえ及んでいることです。すべての動物は創造主の保護と祝福を受けて、互いに争わず仲良く地上に暮らすようにと造られたのです。創造主が与えられた食物は、初めは植物だけだったのです。

 罪が入った後、動物がいつ肉食を始めたのか定かではありませんが、人に関しては、肉を初めて食べた時期はともかくとして、ノアの洪水の後に主が肉食を許可しておられます(創世記9:3)。しかし同時に、箱船から出てきた動物たちに「ふえるように」(創世記8:17)と、祝福の命令を与えられています。そして、小さな動物が主の庇護の下にあるのだと、イエス様がおっしゃったことを今の私たちは忘れてはならないでしょう。人間は主のみ姿に似せて造られ、神の霊を授かった特別ないのちでありますが、だからこそ宇宙と小さな生き物を含めたこの地球全体を、庇護し養っておられる主のみ旨にしたがって管理する責任があるのです。

 「生めよ、増えよ」という祝福は、小さな動物すべてに及んでおり、絵のように鯨は鯨の子を、ペンギンはペンギンの子を、梟は梟の子を(梟の赤ちゃんは真っ白です、念のため)、「その種類にしたがって」生み、育んで、増えなさいということです。人類は昔、なぜ「ペンギンの子孫は永遠にペンギンである」のか知りませんでした。修道士であったメンデルの有名な研究によって遺伝学の夜明けが訪れ、その後、飛躍的に研究が発展しました。

 現在、生物の再生産の詳細な仕組みが判明しつつあり、生物の遺伝を司るDNAという言葉は小学生でさえ知っています。DNAの種内の変異は相当の許容範囲に及ぶことが、近年判明してきています。三倍体の種なしスイカなど品種改良に始まった遺伝子操作は、クローン動物の誕生にまで及び、人類は様々な方法を使って生命を自らの手で操作できるかのごとき錯覚に陥っています。華々しく打ち上げられたクローン動物という花火は、大きな危険をはらんでいることが報告され始めています。
植物も動物も、再生産のための生理的、生化学的機構は、「種類にしたがって」確かな形で受け継がれていくようにと企画・設計されたものであり、その根本的機構を乗り越えることができるように設計されたのではなかったのです。


参考文献:「創世記の記録」ヘンリー・モリス著、創造科学研究会、特集「クローン動物の頻発異常とエピジェネティクス」、「蛋白質・核酸・酵素」、Vol.47, No.13, 1785-1836 (2002)、共立出版