5-27.生めよ、増えよ、地に満ちよ

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-27.生めよ、増えよ、地に満ちよ

神はまた、彼らを祝福し、このように神は彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ」。神はノアと、その息子たちを祝福して、彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地に満ちよ。(創世記1:28,9:1)

 いのちの息のあるものとして、水に棲むもの、空を飛ぶものを第五日に創造されたときに主が祝福を与えられたことについて、すでに「生めよ、ふえよ」で学びました。第六日の最後に人をお造りになった後にも、「生めよ。ふえよ。地を満たせ。」と祝福を与えられました。そして、ノアの洪水により地球が再構成され、地上が乾いて彼らが箱船から出てきた時、主は再び創造のときと同じ祝福を与えられました(創世記9:1, 9:7)。創造主はその後、アブラハムに(創世記13:16, 15:5)、その子イサクに(創世記26:4, 26:24)、そしてイスラエルという名を与えられたヤコブにと(創世記32:28, 35:10, 35:11)、信仰の継承者たちにこの祝福を与えておられます。

 動物種の各々を一組以上創造されたかどうかは書かれていませんが、「群がりうごめく」(創世記1:21)という記述は、種類ごとに複数のつがいが創造されたことを示しているのかも知れません。いずれにしても、人に関してはアダムとエバという一組の男女が造られました。「人・アダム」が「地」(ヘブル語アダマー)に関連しているのは、人の身体が地の諸元素から造られたからであり(創世記2:7)、「人・アダム」は男と女の両者を包含する総括的な用語であることは明らかです。神のかたちに創造された「人」は、男女ともに永遠の霊を等しく持っていて創造主と個人的な交わりが出来るのです。ちなみに、エバという名前は、「すべて生きているものの母」(創世記3:20)という意味で名付けられました。

 さて、「生めよ、ふえよ」は一夫一婦制の結婚によって行われるべきであると定められたことが、二章(2:18-24)に書かれています。またノアの洪水の時、ノアたち、四組の夫婦のみならず、動物たちも種類毎につがい(一組又は七組)として箱船に入れられたと書かれているのは(創世記6:19, 7:2-3)、生殖に関して主が定められた秩序を知る上で非常に興味深いことです。

 昨今、「この地球上に収容能力以上に動物や人が増加してしまい、食物やエネルギーが充分調達できず、地球環境が悪くなった」などという見解から、聖書のこの祝福に様々な疑義を挟む人々が多数います。そして人口増加を抑制する様々な対策が立てられています。しかし、地球は現在より多くの人口を維持する能力を備えており、また「生めよ、増えよ、地に満ちよ」という命令は、今以て廃止されてはいません。もとより、際限もなく増えつづけることは出来ませんが、そのことに関しては主は適切な備えをしておられるようです。

 第一に、キリストは昇天された時と同じように、同じ場所に再び地上に来られると、聖書は約束しています。再臨の前後に起こることについては、イエス様ご自身も話しておられ、また様々な預言も聖書に書かれており、人が地球を完全に滅ぼす前にキリストの再臨があるのです。地球がノアの洪水前夜の様相を呈し始めているのを見聞きするに付けても、キリスト・イエスの再臨はそんなに遠い未来ではないと思われ、人口増加などより遙かに差し迫った深刻な問題でしょう。

 第二に、動物の個体数に及ぼす様々な要因が研究されていますが、動物の個体数の変遷には明らかに制御機構が働いている二三の証拠があります。特定のグループの動物が自然の住みかとする地域で最適の数に到達するとそれ以上無制限には増殖せず、一定の個体数で安定化することが観察されています。それは生存競争によるのではなく、何らかの心理的・生理的仕組みが働いて生殖能力が制御されることによるのでしょう。

 米国で1980年に噴火したセント・ヘレンズ山は、噴火前後の山や地域環境の状況について詳細に記録されていますが、驚いたことに噴火後11-2年で、食物になる植物が戻ってきたのに呼応して大鹿が山に戻ってきました。そして、通常は1匹ずつ生む鹿が、この厳しい条件下では通常よりはるかに多くの双子や三つ子を生み続けています。この環境においては、明らかにある種のホルモンのバランスが変化して、鹿は子孫の再生産をより速く出来るようになっているのです。主は人の人口問題にも同様の制御方法を用いることがお出来になるはずです。


参考文献:「創造」vol. 5, No.2/3 (2001);「創世記の記録」ヘンリー・モリス著、創造科学研究会、「セント・ヘレンズ山」S・A・オースティン、創造科学研究所、挿絵:神谷直子