5-28.主が組み込まれた体内時計

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-28.主が組み込まれた体内時計

安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ。六日間、働いて、あなたのすべての仕事をしなければならない。しかし七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたはどんな仕事もしてはならない。それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。(出エジプト20:8-11)

 創造の一日は現在の時間を測る単位の24時間であることは、「夕と朝によって刻まれた一日」及び「創造の一日は24時間」で学びました。一日が一地質時代というほど長くなくても、例えば二倍の48時間と仮定することさえ不可能であり、生物の体内には時間を測定する時計が組み込まれていて、一日は24時間でなければならないことについて、「人の住まいとするために」で、少し触れました。

 創造主が全宇宙の物理法則、化学法則、生物学的法則などを設定された時に(エレミヤ書33:20, 25)、一日は24時間となさったこと、そして、その創造のみ業をお手本として、人は六日間働き、一日を安息の日とする七日間を一サイクルとして生きるようにと、この出エジプト20章に明確に書かれているのです。

「昼と夜とが定まった時に来ないようにすることができるなら、わたしのしもべダビデと結んだわたしの契約も破られ」(エレミヤ33:20, 21)と、宇宙の諸法則は初めに定められた通りに維持されていくのだと、主はエレミヤに話されました。

 季節的にまた一日の間に起こる変化を、生物が敏感に察知して生命活動を営むこと、すなわち季節的変動、日内変動など、バイオリズムの機構が生物の体内に埋め込まれていることは、古くから現象としてはよく知られていました。まず、植物は昼間には光合成によって酸素を空気中に出し、夜間は呼吸作用のみ行われるために酸素を吸収し、炭酸ガスを排出します。また、季節毎に芽を出し、花を咲かせ、葉を散らせる等々の植物の季節変動、日内変動に影響を及ぼす因子は光だけではなく、温度、湿度、気圧など多数あります。青虫がサナギになり最後に美しい蝶々になり、オタマジャクシがカエルになるなど、不思議で豊かな生命反応や見事な変態を行う仕組みが体内に組み込まれているのです。
 渡り鳥は季節に呼応して遠い道のりを規則正しく往復し、鮭など多くの魚は季節毎に生じる体内変化に応答して回遊します。
このような現象はあまりにも見慣れているために、むしろ当たり前のように受けとめられてきました。
しかし、この一つ一つに対応して複雑で正確な機構が体内に組み込まれていなければ、これらの行動のどれ一つとして正常に行うことはできないのです。
科学の発展に伴い、現象を表面的に観察するだけではなく、科学的に詳細に調べられ、その機構がかなり判明してきています。
一日の長さという物理法則と、他方各種の生命反応・生物的法則という、一見関係がないように見える二つの法則が見事に統率されて連動している事実に、科学の光を当てて人類は理解し始めています。

 創造主が昼と夜の長さなど、宇宙のすべての法則を定められたときに、一日は24時間として認識する体内時計が埋め込まれたと考えられます。この体内時計が順調に働くことによって生命活動は正常に営まれます。昨今、各種の睡眠障害が知られるようになりましたが、脳細胞は本来、朝の光の刺激によって目が覚め、暗くなると脳は睡眠へと導き入れられる筈なのです。
ところが様々な原因によって、埋め込まれた体内時計が狂ってしまうと、生活の様々な側面において波及的にリズムが乱され、健康障害を起こすのです。僅かな体内時計の狂いでさえ生命活動に支障を生じるのです。ですから、一日が48時間であったと仮定すると、それは体内時計にとっては深刻な変化であり、生物には致命的打撃であっただろうと考えられます。


参考文献:「創造」vol. 5, No.1(2001);「創造論の世界」久保有政著