5-29.みんな仲良し

第5章 6日間(144時間)の天地創造

5-29.みんな仲良し

ついで神は仰せられた。「見よ。わたしは、全地の上にあって、種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木をあなたがたに与えた。それがあなたがたの食物となる。また、地のすべての獣、空のすべての鳥、地をはうすべてのもので、いのちの息のあるもののために、食物として、すべての緑の草を与える。」すると、そのようになった。(創世記1:29,30)

 動物たちの「食うか、食われるか」の無惨な死闘が、高度の技術力を駆使した見事な映像として頻繁にお茶の間に届けられています。
技術が高度になるにつれて、その映像は見るに耐えない生々しいものになっています。これは、「大きな猛獣だけではなく中型・小型動物から小さな昆虫に至るまで、生きている動物の自然の姿であり、この食物連鎖がなければ動物は生存できないという現実から目を逸らせてはいけない」と説明されます。弱肉強食によって生物が進化してきた結果、人間も含めた動物の存在が可能になったのだと信じられているのです。
しかしながら、人間をはじめ、虎やライオン、狼や狐など肉食動物の代表も含むすべての動物に対して、創造主から与えられた食物は植物だけだったのです(5-9.エネルギーの形5-18.生めよ、ふえよ5-22.完璧な世界5-26.主に委ねられた管理)。
主に背くという罪を犯すまでは、この地上にはどんな苦しみも死もなかったのですから(ローマ5:12、Ⅰコリント15:21)、肉食などあり得なかったことは明白です(5-6.創造の一日は24時間5-7.上の水)。
豊かに植物が育ち、果実の実る地上にいのちを与えられた人と動物は、争うことを全く知らず仲良く生きていたはずです。そして、そういう世界が再び来ると預言されているのです(イザヤ書11:6-9; 65:25)。

 肉食がいつ始まったのかは明らかではありませんが(創世記9:3、参照)、聖書にはノアの箱船の中で動物が争ったという記載はなく、ノアの家族が動物たちを平和に管理したと読みとることができます。
水が引いた後、動物たちを伴って外に出るようにと創造主はノアに指示なさっています。
図は創造後の世界を模式的に描いたものですが、洪水前には、大地は大きく一つにつながっていただろうと思われますが、地球上どの地においても温暖な気候で植物も豊かに育ち、快適に生活できる条件が整えられていたと考えられます。
人間を始め、現在は猛獣と呼ばれる動物も、弱い動物も、大小様々なすべての動物が仲良く生活していただろうというメッセージです。

 虎やライオンなど肉食動物は、肉を食べないと生きていけないとよく言われます。
従って創造された後、長期間(洪水までの千年以上に及ぶかも知れない)植物だけを食べていたなどということはあり得ないと多くの人々が考えています。
しかし、罪が入ったことによって、すべてが変わったのです。不老不死として創造された動物に「死」が入りました。死が入ったことの内容についてその全貌を人類は知りませんが、生理反応の変化、生命体全体を揺るがす大きな作り替えがあったことは明らかです。
動物の側では、他の動物から栄養を摂取する必要、又は欲求が徐々に生まれてきたかも知れませんし、植物の側でも、含まれる成分の大幅な変動があったでしょう。
「土地は、あなたのゆえにのろわれてしまった。・・・土地は、あなたのために、いばらとあざみを生えさせ、あなたは、野の草を食べなければならない。」(創世記3:17-18)。最後には「必ず死ぬ」(創世記2:17)、「土に帰る」(創世記3:19)と主は言われました。
実は、植物の成分は近年かなり変わってきています。温室で生育した野菜や、畑でも土が痩せたために人工肥料を加えた土地で生育した野菜は(農薬まみれの件は別にして)、葉緑素やビタミンだけでも質的、量的に劣化してきています。
虎やライオンが草食では健康に生きていけないというのは、現在でも事実ではないかも知れません。二十世紀初頭、雌のアフリカライオンがアメリカで育てられ、肉を食べずに9年間の生涯を健康に過ごした貴重なデーターが記録されています。


参考文献:「創造」vol. 5, No.1(2001)、挿絵:神谷直子