創造主に出会って ~第十二章~

創造主に出会って ~第十二章~

3人の男性

 ところが、一年目の三学期の同時期に3人の人からプロポーズを受けるという大事件が舞い込んで来ました。

 その時、すでに25歳。奥手の青春?

 第一の方は、Hさん。京大病院で実習生の私から福音を聞いたという人。その人は、熱心な内村鑑三信奉者になっておられました。

 私は、今の教会の在り方に批判的だったのでお断りしました。

 第二の方は、I兄。母の教会に奉仕に来ていた神学生で、母の熱心な勧めもあって、会う事になりました。

 私は結婚出来ない体だと思っていたので、I兄に会って、自分の状態を正直に話す事にしました。会ってみると、感じが良い!私もお年頃、デート出来ることは、あわよくば彼次第では、結婚の可能性も見えてきました。彼は、私の事情も受け止めてくださり、交際を続ける事になりました。

 そんな出来事の後に、同じ神学校のH兄から手紙をもらいました。内容は、私が入学して来た時から、私の事が気になっていた事。そして、祈り続けていた事。そして、夢を見た事。その夢は、私が3人の子供を連れて神学校に来ている夢だったそうです。それで、これが祈りの答えだと思って、手紙を書いたというのです。

何の前触れも無しに、あまりにも唐突に!

 しかも、夢を本気にするなんて、頭がおかしいのではないか?それに、彼は、私のタイプとは違う。

 それで、私は今、I兄と付き合っている事を伝えて、この話をお断りしました。

その後、H兄は、学校の図書係をしていたので、私に牧師夫人になるなら、これらの本を買っておくべきだ・・・とかなり高価な本を紹介してきました。私もそうかなぁ~と思って、購入したのですが、結果的には、後にH兄の本棚に並ぶ事になったのです。

 I兄との交際の中で、私はH兄の事も伝えました。すると、関係が悪化し、婚約中止となりました。 申し訳無さはありましたが、心は平安でした。

 H兄は、私が神学校を辞めて結婚するとばかり思っていたのですが、二年目も在籍しており、三年目も居るので、又、主に祈ったそうです。すると、「求めなさい。そうすれば与えられます。」とお答えがあったので・・・と、又、手紙をくれました。

 それで私は、I兄との別れの事と共に結婚出来ない理由を伝えました。
 
 H兄の答えは、「子供はいらない。ただ、私の側に居て欲しい。」という事でした。

 「側に居て欲しい」という言葉を聞いた時、イエス様のお言葉を想いました。(ヨハネ14章3節)

 そこで初めて主のみ心を求めて祈り始めました。色々な人間的な思惑(好みではないこと)が邪魔して悩んでいたのですが、ある日の休日の一日、(他の学生は、聖会にでかけていました。)一人、寮の部屋で断食して祈りました。それでも、心に平安が来なくて、空腹のまま寝ようとしていたその時、「一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのままです。しかし、もし死ねば、豊かな実を結びます。」という言葉が響いて来たのです。

 これが主の答えであり、結婚するという事は、己に死ぬという事なのだと理解し、H兄の申し出を受け入る事にしました。この事は、教授たちの知るところとなり、他の学生の目を気にしないで良いように・・・と教授室を二人の交わりの場として提供してくれました。

 他の日本の神学校では、男女交際自体を禁じる所が多かったのですが、私たちは、堂々と交際し、お互いの信仰を確かめ合う事が出来ました。私たちの共通点は、神体験への飢え渇きでした。そして、H兄の中に純粋な信仰を見て、私の心に尊敬と愛の念が生まれてきました。

【続きます】

濱本 章子 副牧師