6-16.大洪水の中に埋没した地球

第6章 ノアの洪水

6-16.大洪水の中に埋没した地球

それから、大洪水が、四十日間、地の上にあった。水かさが増していき、箱舟を押し上げたので、それは、地から浮かび上がった。水はみなぎり、地の上に大いに増し、箱舟は水面を漂った。水は、いよいよ地の上に増し加わり、天の下にあるどの高い山々も、すべておおわれた。いのちの息を吹き込まれたもので、かわいた地の上にいたものはみな死んだ。こうして、主は地上のすべての生き物を、人をはじめ、動物、はうもの、空の鳥に至るまで消し去った。それらは、地から消し去られた。ただノアと、彼といっしょに箱舟にいたものたちだけが残った。水は、百五十日間、地の上にふえ続けた(創世記7:17-19, 22-24)。

 ノアの洪水が地球を覆い尽くした大洪水であったということが単なる物語りではなく、信ずべき事実であったこと、つまり地球の、人類をはじめ全生物の歴史であったことを検証するために、まず創世記6章から9章にどのように書かれているかを概観してみましょう。
年代を追って表にまとめた洪水の記録の前半部を参照しつつ読み進めてください。
聖書を読み慣れると当たり前のように受けとめている人々も多いかも知れませんが、4,300年以上も前の出来事であるのに、まるでたった九年前の阪神大震災の記録の如くに、重要な点については実に驚くほど詳細に書かれていることが分かります。

 大雨が降り始める最初の日について七日前に予告され、まさにその通りに七日後、ノアが六百歳、第二の月の十七日に雨が降り始め、洪水はすぐに箱船を押し上げるのに十分な量に達しました。箱船の高さは少なくとも十三メートルありましたから、水はおよそ六メートルの深さに達したと推定されます。四十日四十夜、大雨は降り続け、最も高い山が水で覆われてからも水はさらに増え続け、どの高い山々もすべて頂上まで覆われました。
すっぽりと水の中に埋没した地球は、まさしく覆ってしまい(ヨブ記12:15)、上空からはどこからみても泥水の固まり(詩篇104:6)としか見えない状態が四ヶ月から五ヶ月近く続いたということでしょう。

 「巨大な大いなる水の源が、ことごとく張り裂け、天の水門が開かれ」(7:11, 12)、40日間も続く大洪水は、斉一説(地球には局地的な天変地異はあったが、地球全体を巻き込む大激動は無かった)では決して説明出来ない出来事です。ヘンリー・モリス著「創世記の記録」によると、「水はみなぎり」(7:18)と翻訳されている言葉は、水は「圧倒的な力があった」だけではなく、地上全般に「これ以上あり得ないほどに行き渡った」ことを示していると書かれています。
又、山々が「おおわれた」(7:19, 20)と訳されているヘブル語は、非常に強調した言葉で「水は山々を水浸しにしただけではなく、それらを洗い流した」ことを伝える言葉であるとも説明されています。当時の地球は起伏がなだらかで、山々は現在よりかなり低かったと考えられていますが、仮に一番高い山が四千~5千メートルの高さしかなかったとしても、その高い山々もすべて完全に水に埋没し、洗い流されたということは、一体どれほどの洪水だったのでしょう。
単なる川の氾濫や、局地的な洪水では説明できない全世界的規模の大洪水であったことは疑う余地のない記録でしょう。

 さらに、もし局地的な洪水であったとしたら、あの「常識はずれな馬鹿でかい」箱船を、家族だけで百年の歳月を掛けて建造することも、食糧を蓄えること(6:21)も全く不必要だったでしょう。
水の来ない場所に避難したほうがどんなに簡単で、快適な日々を過ごせたことでしょう。
水が増して来るにしたがって、人はもとより陸の多くの動物は逃げ出すことが出来たでしょうし、鳥は飛んでいけました。
地上に生きていたものがすべて死に絶えるなどということは起こるはずもなかったのです。ところが、人も動物も鳥も地上に生きていたものはみな死に絶えました。
荒れ狂う怒濤に翻弄されつつも決して沈まず、無事に浮かんでいた箱船に保護されていたものだけが洪水から生き延びることが出来たのです(7:21-23)。
水の増加が止まった百五十日目、第七の月の十七日に、箱船は高いアララテ山脈(標高5,100メートル)の上に浮かんで留まりました。

参考書:ヘンリー・モリス著、宇佐神正海訳「創世記の記録」(創造科学研究会)、久保有政著「創造論の世界」(徳間書店)