6-30.地球が存続している限りは

第6章 ノアの洪水

6-30.地球が存続している限りは

地の続くかぎり、種蒔きと刈り入れ、寒さと暑さ、夏と冬、昼と夜とは、やむことはない。(創世記8:22)。

 ノアの洪水によって地球全体がひっくり返り、全生物が死滅したことについて詳細に学んできました。
水が完全に退いた後、今後、全世界を覆う大洪水で生き物を滅ぼすことは再びしないと、ノアに約束なさった主は、地球がどのように続いていくかを示されました(注参照)。
地球が存続する限り(英語訳:endures, remains, exists, lasts)、地球の公転も自転も定めたように繰り返され、四季が規則正しく巡ってきて、昼夜、寒暖の規則的な周期も保障され、食糧生産である農業が支えられるなど、自然界が途絶えることなく規則正しく動いていくことが約束されました。

 地球及び地球を取り巻く自然環境は、洪水によって厳しい大変化を被りました。
地の下から噴き出し又天の上から注がれて地上に溢れた水は、海や湖や川に、そして地下へと退いていったでしょう。海の面積は洪水前より大きくなったと考えられており、また山が高くなり海溝は深くなり(詩篇104:8)、おびただしい水の大半はそこへ集められました。
そして、創造された地球の元々の水の循環(創世記2:6, 10-14)のように完璧で穏和なものにはならなくても、現在あるような水の循環が時間をかけて徐々に整えられていったと考えられます。

 太陽熱によって海から大量の水が蒸発し、大気の循環によってこの水は移動して陸地に運ばれ、雲になって凝結し、雨や雪となって陸地に降り、川や地下水となって海に戻ります。
この循環が水の惑星として語られる美しい地球を整え、その上にある生命体も支えられています。ノアの洪水ほどでなくても地球を取り巻く水のコントロールが順調に保障されないと、生命体は危機に瀕します。この水の循環及びその役割について、科学的に正確に聖書に書かれています(詩篇33:7, 135:6, 7, 147:16-18、伝道者1:6, 7、ヨブ記26:8, 36:27, 28、イザヤ書55:10)。

 裁きとして下ったノアの洪水の持つ意味は、地球の外の宇宙にまで影響が波及するほどの地球全体の破壊でしたが、それに続いて主の大きな恵みによる再創造がありました。
地底までひっくり返った大洪水の後に再創造された地球の水の循環は、時には暴走して大地が受け止められない大量の雨を降らせたり、川が氾濫したりして局地的洪水をもたらしたりもしますが、ノアへの約束は守られますから、全世界に及ぶ洪水は起こりません。
水の循環は基本的には太陽を中心に動き、また地球上に必要なエネルギーは太陽によって供給され、自然界の様々な出来事は安定して推移する、すなわち「斉一性の原理」を人々が信じるようになりました。

 創造主が定められた将来への約束を知らない日本人は、地球の始まりを知らず、終わりも知ろうとせず、地球は未来永劫、数十億年の彼方までいつまでも変わらず宇宙に浮かんでいると信じようとしてきました。
そして多分地上には、姿形が全く異なった進化した未来の人類、頭だけになった化け物が住んでいると想像する人々もいます。
進化した犬や猫や、或いは昆虫は、細菌はどうなっているのでしょう。新たな数十億年ですから、きっと全部進化して、昆虫も細菌も猿になり人類を経由して、頭だけになってしまっているのでしょうか?

 二十世紀の終わり頃から、斉一論に立つ人々も地球全体がただならぬ状況になっていることに気づき始めました。
予想外の気象の変化があり、地震や台風が頻々と起こり、オゾン層の破壊による有害光線の地球への直撃など、そして、こうした変動は地球の許容量を超えているので受け止めることが出来なくなっており、地球全体が崩壊に向かっていることを認めざるを得なくなっています。
一体何事が起こっているのか、まるで人類は力を尽くして地球を滅ぼそうとしてきたかのように見えます。そして、それに対して人類は猛反省した結果、人間の力で地球の崩壊を食い止めることが出来るのだと、一部の人々は努力をし始めています。

 ノアに対する恵み深い約束の期限は「地球が存続する限り」でした。「主の日」が訪れることは聖書に預言されています(黙示録21:1-5, 22:3、ローマ8:21)。
その日には、「天は大音響を立てて消え去り、天体は焼けてくずれ、地とその上に造り出されたものも、みな焼き尽くされるであろう」(Ⅱペテロ3:10、口語訳)。
永遠の存在者ヤハウェ、すなわち全能の創造主(エル・シャダイ)が、地球を含めた全宇宙と、人間をお造りになり、聖書を書いて宇宙の始まりから終わりまでを私たちに明らかに示されました。今、全世界で起こっていることは、主の日の遠くないことを告げ知らせる警鐘ではないでしょうか。

注:「地」という日本語は「大地、陸地、土地、地所、地面、場所、境遇、立場、領地、領土、下地、下方」(広辞苑)とあり、地球という言葉は出ていません。しかし、日本語訳聖書では引用箇所と共に、万物の創造の宣言(創世1:1)、地球が宇宙空間に浮かんでいるという記述(ヨブ記26:7,イザヤ40:22)など、地球を指すとき「地」と翻訳されています。英語訳(17種)は「the earth・地球」と翻訳されています。