6-15.お伽話なのか?歴史なのか?

第6章 ノアの洪水

6-15.お伽話なのか?歴史なのか?

はいったものは、すべての肉なるものの雄と雌であって、神がノアに命じられたとおりであった。それから、主は、彼のうしろの戸を閉ざされた。それから、大洪水が、四十日間、地の上にあった。水かさが増していき、箱舟を押し上げたので、それは、地から浮かび上がった。水はみなぎり、地の上に大いに増し、箱舟は水面を漂った。(創世記7:16-18)

 創世記1章、2章で地上の人を中心とした(イザヤ書45:18)天地の始まりが記載され、6章以下には、その後地上にみなぎった救いがたい堕落のために裁きの大洪水が起こったことが書かれています。
三位一体の絶対神による無からの創造と大洪水による地球の再設定は、進化論を信じる人々にとっては受け容れがたいことです。
進化論の基盤となっている斉一論、すなわち「地球の歴史はすべて現在起こっているのと同じ自然の過程が、非常に長い年代に亘ってゆっくりと作用した」と考える仮説を採用するならば、天地の創造や大洪水による全く新しい地球の再出発という考えを真っ向から否定せざるを得ません。
したがって、進化論者は「歴史上本当に起こったことではなく、単なるお伽話に過ぎない」という主張を前面に押し出して、現在の地球を理解する根幹であるこの歴史上の二大事件を攻撃目標にしているのです。

 このように、キリスト信仰を否定する人々によって、「天地創造」と「ノアの洪水」の重要性が認識され、攻撃目標として確実に照準を合わせて捉えられているのに対し、他方、聖書が神の霊感によって書かれた書物であるという信仰を表明している多くのクリスチャンたちが、無意識下であったとしても、この重要性をなおざりにしてきてしまったのです。
聖書を信仰書として尊敬を払う人々でさえ、最高の権威ある歴史書として認識していないことの表れでしょう。
「天地創造のこともノアの洪水のことも、そんな難しいことはどうでもいいではないか。十字架にかかり復活されたイエス様を救い主として信じるだけで十分である」と、極論・豪語する人々も少なくはありません。
天地創造やノアの洪水について、「難解な」神学を展開して聖書以外の解釈を加えることは確かに難しいことでしょう。
しかし、聖書をその通りに受け取って信じることが難しいことでしょうか?信仰の基盤である天地創造と、大洪水による世界の再出発を突き崩しておいて、イエス様を自分の主、救い主とする信仰は成立しないことを、クリスチャンよりも反キリストの立場の人々はしっかりと捉えているのです。

 天地の創造とノアの大洪水を聖書に書かれている通りに信じないで、人間の様々な意見を差し挟んで歪曲することは、聖書の権威を否定することです。
聖書が、人類に与えられた唯一の権威ある書物、決して変わることのない書物、誤りのない創造主の著書であることを否定することなのです。
つまり、イエス・キリスト信仰の根底を覆すことなのです。
だからこそ、キリスト信仰に反対する人々は、新約聖書に対する攻撃よりさらに激しく、むしろ創世記を攻撃するのであり、反対者にとってはそれがまさに的を射たことになるのです。

 残念なことは、イエス様をキリストとして愛し、尊敬し、従う人々が、アダムとエバが騙されたのと全く同じ手法で騙されていることです。
知恵の木の実を食べ、創造主よりものが見え知恵がついたと錯覚し、創造主の著書を自分勝手に手を加えていることです。
創造の記述を歪めて様々な変更を加え、ノアの洪水も聖書の記述の通りではないと考えるなら、イエス・キリスト信仰は成立しません。
このことについては、すでに、「聖書と科学」のメッセージの中で、「六日間(144時間)の天地創造:はじめ夕と朝によって刻まれた一日創造の一日は24時間植物と動物の共生関係大気の組成人の住まいとするために主が組み込まれた体内時計創造に六日かけられた理由、および 、非常に良かった」などで、多少検証しましたので、ご参照下さい。

 ノアの洪水はお伽話でしょうか?それとも地球の歴史でしょうか?史上初めてで最後である(創世記9:11)大洪水が地球を覆い尽くし、箱船に救われた人々と動物以外はすべて滅びた長期の大洪水であったのか;或いは、その通りではなかった、例えば局地的なものであったとか、聖書に修正を加えなければならないような洪水であったのかという、この重要な命題について、様々な視点から少し検討していきたいと思います。
旧約聖書はノアの洪水をどのように検証しているか、新約聖書でどのように書かれているかを検証します。
何故、救いの箱船が造られなければならなかったのか、全世界を覆うような大量の水が一体どこから来たのか、地上に残された洪水の爪痕、地層や化石からの検証、1980年に噴火したセントヘレンズ山の記録、特に形成された小グランドキャニオンと有名なグランドキャニオンとの比較、洪水後再出発した世界の状況からの検証など、順を追って共に考えたいと思います。